中国とロシアの間に挟まれている国モンゴルの安価な電気代と寒い日の多い天候という理由から。今日本の多くのマイニング業者から注目を浴び始めています。現在の仮想通貨の弱気相場により世界各国でマイニング収益が減少している中、高い収益を見込んでモンゴルでの運営を始めようと動き始めています。
ビジネス環境は悪いが収益性は高いとされるモンゴル
東京を拠点とする仮想通貨ウォレット業を運営している「Ginco」は、モンゴルの首都ウランバートルで2つのマイニングファームを運営していました。現在、1つの施設は10月に事業を開始しマンション複合施設内の地下で稼働しています。
しかし、現在仮想通貨の下落が長らく続いており世界規模でマイニング業者が不採算となり規模の縮小と撤退を始めています。にも関わらずGincoは、現在600台のマイニングマシーンを稼働しており、さらに四半期中にさらに1000台まで増やそうとする計画を発表しました。
Gincoモンゴルの最高経営責任者(CEO)である古林雄真氏は11日、「ビジネス環境はますます厳しくなるが、それでも利益を生み出すことができる」と自信を覗かせました。
続々と撤退を始めたマイニング業者
この1年は仮想通貨のマイニング業に携わっている会社にとっては厳しく容赦のない1年でした。ビットコイン(BTC)の価格は2017年12月の史上最高値である約2万ドルから80%以上急落し、一部のマイナーは崩壊の危機に瀕しています。価格下落と相まってネットワークのハッシュレートが上昇した結果、ビットコインのマイニングは収益性が低下しています。
日本のビットコイン採掘ハードウェアメーカー「GMO Internet Inc.」は240億円の損失を計上し12月末に事業停止を発表しました。それでもなおマイニングを続けるために、同社はマイニングセンターをより安価な電気代の地域に移転すると発表したばかりです。
11月には、米国を拠点とするビットコインマイニング会社Giga Wattがワシントン州東部地区の裁判所で破産を申請し、最大で20人の債権者から負債を未だに700万ドル(約7.67億円)近く負っていることも明らかになりました。
さらに中国でも個人および中小企業は損失を取りかえそうとネット上などでマイニング機器を投げ売りするニュースも流れその厳しさはさらに増していくこととなりました。
モンゴルの気候と安価な電気代がマイニング業者を魅了する
モンゴルはアメリカやスウェーデンと同様に寒い気候と安い電気代からビットコインマイナーがまだ利益を生み出すことができる数少ない国の1つとしてマイニングに最適な土地になりえ、日本の各社から注目を浴びています。低い気温はハードウェア用の冷却システムの稼働を減らすことが可能だからです。
エネルギーコストは、仮想通貨マイニングの利益計算において重要な要素で日経アジアによればモンゴルの電気代は、日本の3分の1の料金で中国よりも低くいと報道されています。
2018年の夏に、日本の企業iToolsも同様にモンゴルでマイニング業を始めており、実際に市場の下落が続いているにも関わらずモンゴルでのマイニングは依然として利益を上げていることも分かりました。同社は現在マイニング機器の保有数の拡大する計画を保留しているもののCEOのTamir Bayarsaikhan氏は、この事業にはブロックチェーン技術への専門知識を深め、新しい事業を創出する能力があると指摘しています。
モンゴルではステーブルコインの開発も進む
仮想通貨マイニングは鉱業、農業、観光などの基幹産業が冬の間に停滞するモンゴルにとっても魅力的な事業と捉えており、政府は積極的に仮想通貨やブロックチェーン関連の情報技術部門を育成しているとのことです。
昨年、モンゴル中央銀行は仮想通貨への規制の緩い法律を制定し、モンゴル最大の通信ネットワークであるMobicomは、モンゴルの法定通貨であるTugrikと値を固定した独自のステーブルコイン「Candy」の開発を決定しています。
さらに今年に入り、モンゴルは、BinanceやHoubiなどの取引所に支えられているブロックチェーン決済システム「Terra」との提携を発表し、モバイル決済システムと、異なる銀行の口座間の転送を可能にするピアツーピア決済システムを開始する予定です。
ロシアでもHuobiがオフィスを開設しマイニング業も始めようとしており、今まで中国がマイニング業のメインの国となっていたのが今年からモンゴル・ロシアと移り始めるフェーズとなり得るかもしれず世界から注目を浴びそうです。