導入
貧困は国際的に大きな問題のひとつです。
貧困や不平等さを測る尺度として「貧困者数・貧困率」など複数の指標を参考に総合的に判断する必要があるが、その貧困が発生する原因として、病気・飢餓、低い教育水準、過度な労働・児童労働、治安の悪化・政治の腐敗、テロの誘発、自然環境の破壊など、多くの問題が挙げられます。
日本などの裕福な先進国ではこれらの問題はほとんど目にすることはありませんが、新興国や発展途上国では多くの場合においてこれらの問題が顕在化しています。
その対策として、社会保障、農業改革、投資、教育、自由貿易・市場競争などがあります。
ユニセフ(United Nations Children’s Fund)は、そういった国の子供たちを助ける活動を進めている機関のひとつになります。
同組織のイノベーション・ファンドが、2018年1月の国際連合プログラム内にて、非営利組織のベンチャー部門での人道的支援においてブロックチェーン技術の使用を後押しすることが発表されています。
ユニセフとは?
1946年に国連総会で創設され、2016年12月に70周年を迎えています。現在、世界190か国と地域で活動を行っています。
ユニセフ(UNICEF)は現在、7つの分野(保険、HIV/エイズ、水と衛生、栄養、教育、子供の保護、社会へのインクルージョン)で活動しています。
更に、災害・紛争が起きた地域への緊急・人道支援、女子教育の推進を含むジェンダーの平等にも取り組んでいます。
ユニセフの活動資金は、100%任意での民間からの寄付と政府の拠出からになります。これらの資金の予算配分は、
・5歳未満児死亡率
・所得水準(1人あたりの国民総所得)
・子供(18歳未満)の人口
以上の指標をもとに、優先順位を判断して配分されることになっています。
ユニセフがブロックチェーン企業へ出資
国連の児童チャリティー部門であるユニセフ(国連児童基金)は、途上・新興経済地域に拠点を置く6つのブロックチェーン企業に対して、計10万ドル(1100万円)の補助金を投資することを発表しました。
ユニセフの発表によれば、今回の出資は同機構が模索している国連加盟国およびユニセフの対象国における、ブロックチェーンの実際応用可能性に向けた投資の一環です。
ユニセフのスマートコントラクトを活かした、ブロックチェーン分野における目標は以下のようになります。
・組織的効率の向上
・分散型意思決定のプロセスの構築
・ユニセフが活動する、国連メンバーの国・それ以外の国におけるDLT(分散型台帳)の理解と知識の向上
・ブロックチェーンの活用により、世界的問題を解決していく
6つのブロックチェーン企業
今回の出資は、50か国から厳選された26のテックスタートアップ企業(データサイエンス、機械学習、VRなど)がユニセフによる出資対象になっています。
その内で、ブロックチェーンに該当する企業と、事業内容をリストアップしたのが以下になります。
・Atix Labs(アルゼンチン)→中小企業が資金へアクセスできる、追跡も可能となるプラットフォーム
・Onesmart(メキシコ)→新興市場における資金の横領を防ぎ、児童と青年に向けた国営社会福祉を確保
・Prescrypto(メキシコ)→途上国における医療サービスのデジタル化を提供し、患者のメディカル履歴一元化と医療レベルの向上を目指す
・Statwig(インド)→改善されたサプライチェーン管理システムにより、ワクチンの有効な受け渡しを確保
・Utopixar(チュニジア)→コミュニティと団体が意思決定プロセスと価値の転換を促進するための協力ツールを改善する
・W3 Engineers(バングラデシュ)→SIMカードなどのネットワークを不要としたオフラインプラットフォームを通して、難民と移民コミュニティの連結性を改善
ブロックチェーン技術は、資金面で透明性を高め、医療におけるサプライチェーン管理やカルテルの連携など、インフラ整備が不十分である新興国において相性が良いといえるでしょう。
まとめ
ニセフが、世界中の子供たちへの支援となるビジョンをもつブロックチェーンスタートアップに対し、寄付型の出資を行っています。
ブロックチェーンの改ざん耐性と透明性が、物流や資金移動などの安全性を保障します。
そして、ベンチャーチームから、技術的な面でのアドバイスや戦略系のコンサルタントを行うことで、今後の持続的な成長を支援します。
ブロックチェーン技術を通じて、世界の問題が少しでも解決に近づくと両者にとって良い方向に繋がるでしょう。