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イスラム教準拠のステーブルコインが誕生する見込みか スイス企業が認証取得

仮想通貨大国というとどの国を思い浮かべるでしょうか。取引の中心となりつつあるイギリスやアメリカ、金融大国として名高いスイスやICO推進国のフランス、アジアの国でもアルトコインの取引量が突出している韓国やアリババなどの仮想通貨関連特許の取得に積極的な企業のある中国の名前が挙がるでしょう。地理的な制約を受けないという仮想通貨の特色もあり世界中に散らばる仮想通貨大国ですが、イスラム教国の名前はなかなか上がりません。

それもそのはず、イスラム教において金融のあり方は「シャリーア」と呼ばれるイスラム法の制限を受けており、教義に適う=ハラールであると認められないと参入者が増えないという事情があるのです。今回、スイスのフィンテック企業であるX8 AGが発行するステーブルコインについてシャリーアに基づいた認証を受けたとの報道がありました。こちらの記事では認証の詳しい内容や認証による影響、さらにすでにシャリーア認証を受けているコインなどについてお伝えしていきます。

スイスの企業が認証取得!イスラム教準拠のステーブルコインが誕生か

今回イスラム法(シャリーア)に基づく認証を受けたのはスイスに本社を置くフィンテック企業であるX8 AG。認証を受けるに至った決め手となったのは、X8がイーサリアムをベースとするステーブルコインであるということです。イスラム法学者が仮想通貨について懸念しているのは仮想通貨の投機的な側面なので、ステーブルコインであれば回避可能との見解です。そもそも、シャリーアの教えとはどのような内容なのでしょうか。仮想通貨における論点と絡めて説明します。

イスラム法シャリーアとは?仮想通貨に関する論点とは?

イスラム法と聞くと「コーラン」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。イスラムの教えとはコーランの内容を基本として学者たちが作り上げていったものであり、その内容は信仰の在り方、儀礼の行い方といったものから家族や取引における決まりなど日常生活に関連するものまで多岐に渡ります。このコーランに、イスラム教の開祖であるムハンマドの言行録「ハーディス」を加えた2つの規範を併せてイスラム法とし「シャリーア」と呼んでいます。シャリーアとは、「神が人間い示した正しい生き方」を意味する言葉であり、「水場への道」が語源となっています。

現代ではイスラム諸国においても近代的な法律が制定されていますが、実務面においては未だにシャーリアの教えが道徳的な規範として強く保持されており、イスラム教国で生活する上ではシャリーアの理解が欠かせないものとなっています。シャリーアには金融に関する記述もあり、日本や欧米で行われている金融の商習慣のうち一部は許容されていません。ムスリムの文化圏におけるシャリーアに則った金融のあり方を、日本や欧米で広く普及している「伝統的金融」と対比して「イスラム金融」と呼びます。

イスラム金融の原則

イスラム金融の原則のうち主なものは以下の通りです。

(1)利子の授受の禁止
イスラム金融において、貨幣は「交換の手段」であると位置づけられており、価値保存以上の意味を持ちえません。従って、資金を貸し借りして利子を受け取ることは「搾取的」であるとして禁止されています。

(2)投機的取引の禁止
リターンを生み出す手段として投機的取引や賭博的行為を用いることはシャリーアによって禁じられています

(3)不確実な取引の禁止
価格や数量などの取引条件が不確実な取引はシャリーアで禁じられています。禁止の理由は、当事者間の条件が不公平になり、詐欺的要素を含みかねないからということです。

(4)禁避的行為の禁止
イスラム教で豚肉食やアルコールなどが禁止されているのはご存知の通りですが、イスラム金融いおいてはムスリムが豚肉、アルコール、タバコ、武器、猥褻物などの特定の禁制品を取引することも禁止しています。

シャリーア×仮想通貨の論点とは

仮想通貨がシャリーアに照らして「haral(許される)」なのか「haram(禁じられる)」についてはこれまでも議論されてきた内容です。主に論点となっているのは、仮想通貨が「投機的取引」なのではないかという点です。シャリーア教義は単なるルールではなく、様々な学者が解釈を行い意見をぶつけ合うことで方向性を決めていく学術的な分野ですが、仮想通貨に関する取り扱いについては学者の間でも未だ意見が割れているようです。一部のイスラム法学者は仮想通貨取引を「権利の移転」であるとみなしており、この場合は仮想通貨取引はイスラム法の下で合法という結論になり得ます。

一方で、ICOについては利子を禁じる教義や不確実な取引の禁止を根拠として適格ではないとする意見が優勢のようです。権威ある団体や国の認証を受ければ今後仮想通貨はイスラム諸国においても急速に普及していく可能性がありますが、ICOについてはなかなか普及の兆しが見られません。

シャリーアに基づく認証とは

今回、X8に対してシャーリアに基づく認証を与えたのはシャリーア・レビュー・ビューロ(SRB)という組織です。では、SRBとはどのような組織なのでしょうか。SRBはイスラム法のコンサルティング・監査を手がける大手企業であり、バーレーン中央銀行の認可を受けて業務を行っています。SRBは12カ国で営業を行っており、特にサウジアラビアでは高いシェア率を誇っています。シャリーアに基づく認証を与えられる組織は他にも複数あり、SRBの場合の「バーレーン中央銀行」のような権威の高い組織から認可を受けて承認業務を行っています。

X8とはそもそもどんなコイン?

X8はイーサリアムベースの暗号通貨であり、7種類の法定通貨および金にその価値を裏付けされた「ステーブルコイン」です。従って、他の仮想通貨に比べてそのボラリティは低く、イスラム法学者が懸念するような投機的な側面も薄いと言われています。

また、X8はイーサリアムベースのコインということで、マイニング方法はプルーフオブワーク(PoW、Proof of Work)となっています。PoWは簡単に言うと、取引の記録を仕事量によって証明する仕組みです。過去にはイスラム教国であるインドネシアのマイクロファイナンス企業であるブロッサム・ファイナンスの創業者兼CEOのマシュー・J・マーティン氏が、仮想通貨は債務ではなくPoWに基づいて発行されているという点を根拠に法定通貨よりもハラル(許容できる)である可能性もあるとの見方を示しています。X8がPoWの通貨であったことももしかしたら今回の承認を後押ししたのかもしれません。

X8がシャリーア認証を受けたことによる影響

認証を受けたスイスのフィンテック企業であるX8 AGは今回の認証を中東への事業展開の第一歩と位置付けており、今後イスラム法に準拠した取引プラットフォームを有する仮想通貨取引所をローンチする予定であるとのこと。既に共同創業者のグレコ氏はドバイ、アブダビ、バーレーンの取引所と会合を行ったことが報じられています。

湾岸地域はシャリーアの影響で仮想通貨が未だあまり盛り上がっていないものの、オイルマネーが潤沢でありフィンテックのハブとなることに各国ともに意欲を見せており、浸透すれば大きな市場となることが見込まれています。

シャリーア認証を受けたコインは他にも存在する!

今回シャリーア認証を受けたX8ですが、過去には他にもいくつものコインが認証を受けています。2018年7月にバーレーン中央銀行によって承認されたシャリーアのアドバイザリー機関「シャリーア・レビュー局」による認証を受けたのはアルトコインのステラ(XLM)。送金および資産トークン化の分野での認証でした。これによって、一部イスラム圏においてもステラを用いた送金と実世界における資産のトークン化が可能になりました。ステラの技術を用いたサービスの開発にも期待が集まっています。

また、2018年3月には仮想通貨ユーティリティトークンであるNOORCOINが世界シャリーア諮問委員会から認証を受けています。

国単位で仮想通貨を後押しするケースも

一部のイスラム教国では仮想通貨の取引を概ね認めているケースも。例えば最も開放的なのはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイです。2017年10月には独自のデジタル通貨「emCash」を発行しており、公共料金の支払い、ショッピングなどに利用することができます。アジアのイスラム教圏ではインドネシアが仮想通貨を容認する動きを見せています。

後押しこそしていないもののすでに行われている仮想通貨の取引を静観しているのはサウジアラビア。サウジアラビアの電力会社であるACWAパワーはSolarCoinを発行する予定とのこも。その他、イランやトルコでは国が独自の仮想通貨を発行しようと試みています。国独自のハラールな通貨を発行することで混乱を避ける目的もある模様です。

仮想通貨フレンドリーであったり容認する姿勢を見せる国もある一方、エジプトなどの厳格に禁止する姿勢を貫く国もあります。学者の間でもシャリーアの仮想通貨をめぐる解釈についていまだ意見が分かれていることが国によって足並みが揃わない理由の一つであると考えられます。

まとめ:イスラム圏での仮想通貨取引は加熱することが予想される!

イスラム教徒は、世界の人口のうち実に1/4を占めるとも言われています。その中には、経済成長と人口増加の著しい新興国も含まれていますし、オイルマネーの潤沢な中東地域や、経済のハブ的役割を果たすドバイなども含まれています。間違いなくポテンシャルの高い地域ではあるものの、シャリーア的にハラル(許される)か否かの見解が分かれていたため今まで仮想通貨はあまり浸透していませんでした。

今回のX8の認証やシャリーアに則った取引所の設置などを通じて、イスラム金融圏における仮想通貨取引は今後活発化していくことが予想されます。今後加熱の一途を辿るであろうイスラム圏での仮想通貨をめぐる動きから目が離せません!最後まで読んで頂きありがとうございました。