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金融庁、ICOに規制検討か

株式や法定通貨の売買と比べると新しい投資対象である仮想通貨。インターネットが普及していることもあり、投資家はもちろん普段投資を行っていなかった層まで急速に広がりを見せています。しかし、取引量があまりに急速に拡大したために日本国内では法整備が追いついていないのが現状です。特に、仮想通貨技術を使った資金調達方法であるICOに関しては、国内で未だ実効性のある規制はかけられていません

気軽な資金調達手段として人気を集めるICO。プロジェクトが成功した暁には投資家も大きなリターンを得られる可能性がある一方で、失敗すると資産を失うことに。さらには騙して投資させる詐欺ICOもはびこっています。そんな現状を受け、金融庁ではICOに対して規制を検討し始めたとのこと。今回の記事では、検討の概要から基礎知識、各国におけるICOの規制状況までを一挙にお伝えします。

金融庁がICOの規制検討を開始!

2018年、金融庁はブロックチェーン技術を使った資金調達方法であるICO(Initial Coin Offering)の規制に向けた検討を開始しました。ICOは投資の対価として配当や利子を返礼するため投資にあたる可能性があるとし、金融商品取引法の規制対象とすることを視野に入れて検討を進めている模様です。ICOの中には事業計画が杜撰なものや、そもそも騙すつもりで資金を集める詐欺まがいの案件もあり、投資家保護のために早急な対応が求められています。実はこれまでも金融庁はただ手をこまねいていたわけではなく、注意喚起文書を出しています。では、具体的にはどのような内容だったのでしょうか。

これまでの金融庁の対応:注意喚起文書

今までの金融庁の主な対応としては、2017年10月にICOについての注意喚起文書が公表されています。同文書内では資金決済法の基準に触れた上でICOで発行されるトークンが

・不特定の者に対して代価の弁済に使用できる

かつ

・「不特定の者を相手に法定通貨と相互に交換できる」または「不特定の者を相手に仮想通貨と相互に交換できる」

の要件に該当する場合、仮想通貨として見なされ、当該トークンを売買したり他の仮想通貨との交換を行うことは「仮想通貨交換業」にあたるとしました。

また、ICOが「投資」としての性質を持ち、かつトークンを購入する際に法定通貨で購入されるか、又は仮想通貨で購入されるが実質的に法定通貨で購入されるものと同視できる場合、当該ICOは金融商品取引法の規制対象となるという見方を明文化しました。さらに、利用者に対してICOのリスクについて注意を促しました。

最近の金融庁の動向

2017年10月に注意喚起文書が出されましたが、金融庁はさらに本格的な規制の検討のため有識者を招いて「仮想通貨交換業等に関する研究会」を構成し、ICOの規制に向けて議論を行なっています。ICO規制を議論する際に金融庁が念頭に置いているのが、投資家が配当や利子を得ることができる投資型のトークンです。トークンに関しては、2018年11月現在においても法定通貨で購入する場合金融商品取引法の規制対象となりますが、株式のように事業計画の第三者による確認は行われておらず、情報開示も十分に行われているとは言えません。このように投資とみなせるようなICOについては現状の規制に加えて追加の規制が必要だと考えられているのです。

投資とみなせるようなICOについては販売業者の資格化や投資家への制限などの追加の規制を設ける見込みですが、決済手段として発効されるトークンについては投資商品としての規制は不要であるとして区分される方針です。

そもそもICOとはどんなものなのか 概要と現状

そもそも、今回議論の対象となっているICOとはどのようなものなのでしょうか。金融庁はICOについては明確な定義はないとしていますが、議論を進める上では一般的に「企業等が電子的にトークンを発行し、公衆から法定通貨や仮想通貨による資金調達を行う行為を総称するもの」としています。

つまりICOとは、企業や団体が「トークン」と呼ばれるデジタル権利証を発行し、その対価として現金を得ることで投資家から広く資金を募る資金調達方法です。現状、株式の上場時のような厳しい審査は行われていないので、中小企業やスタートアップ企業でも気軽に資金を調達できる方法として注目されています。一方で、審査が無いために中には事業計画が杜撰なものや詐欺まがいの案件もあります。このようなトークンが乱立しているため値動きが激しく、ICOが仮想通貨界の投機的な行動を助長しているとの批判も絶えません。

全世界のICOに関しては公的データは存在しないものの、民間の調査会社によると2017年には資金調達額ベースでおよそ55億ドル、2018年は1月から7月の時点で既に143億ドルに達しているとのことです。新規の株式公開(IPO)の資金調達額が1,880億ドルであることを鑑みると僅少とも捉えられますが、伸長しつつある市場であることは否定できないでしょう。

日本国内においては、未だ法整備が進んでおらずICOのローンチは自重される傾向にあります。しかし徐々にニーズが高まりつつあるのは事実であり、利用者保護や詐欺的なICO、杜撰なICOを排除するための仕組みづくりが早急に求められています

金融庁の規制の方針は?

金融庁の検討会の議論を鑑みるに、ICOについては何らかの規制は必要との見方が強いですが、闇雲に規制をかけるのではなく慎重な議論が必要との見方が優勢のようです。ICOについては現行法でもまったくの無法地帯であるわけではありませんが、仮想通貨に関する資金決済法上の規制は販売業者を対象としており、情報開示・発行開示・継続開示などの規制は伴わず、不十分だと考えられているようです。

例えば、社会的にニーズがあり伸長しているICOを法で禁じた場合にどのような影響があるのか、また従来の資金調達法ではなくICOが選ばれていることについて本質を理解する必要があるとの意見が出ています。ICOにスピーディかつグローバルな資金調達やスタートアップ企業にとってのローコストな調達、資金調達とサービス提供のリンクが容易といったメリットがあることも議論されて、完全規制はためらわれるとの意見も聞かれました。

一方で、経済学でグレシャムの法則と呼ばれる、所謂「悪貨は良貨を駆逐する」といった意味合いの法則がある通り、悪質なICOが乱立することで良質なICOが立ち行かなくなるような状況に陥る可能性もあるため、悪質な業者がのさばらないような制度設計は必要であるとの経済学的観点からの意見もありました。

ICOの類型によって規制を変えるべきとの意見も

会議では、ICOと一括りに言ってもその内実は様々であり、それらをまとめて議論するのは難しいのではないかとの意見も多く出されました。金融大国スイスの金融監査機関であるFINMAのガイドライン上ではICOトークンを以下の3類型に分類しています。

  • Payment tokens(決済用トークン)
  • Utility tokens(ユーティリティトークン:
    特定のサービス等の利用に必要なトークン)
  • Asset tokens(アセットトークン:
    保有により利子や配当を得られたり、企業や団体の資金源に根ざすなど資産に相当するトークン)

ペイメントトークンはICO規制の対象にならない説が濃厚ですが、ユーティリティトークン、アセットトークンの区分については検討会の中でも話題に上がりました。

このうち所有者が発行者に対して収益の分配などを求めることができるアセットトークンについては明らかに資金調達手段であり実質的に有価証券とみなせるものであるとし、何らかの規制の対象となる説が濃厚です。一方でユーティリティトークンは、性質としてむしろ電子マネーなどの前払い式支払手段に近いものであり、投資に際しての投資家保護の規制の枠組みには当てはまらないとの議論がなされました。一方で、ユーティリティトークンについても野放しにしておくべきではないとの意見も上がっています。

ICOとクラウドファンディング

近年需要が高まってきているサービスの一つであるクラウドファンディングがICOに類似しているとの指摘もありました。クラウドファンディングはその性質により寄付型、購入型、投資型の3つの類型に区分することができるという点でもICOと類似していると言えます。一方、ICOのトークンは市場を通じて売買可能ですがクラウドファンディングでは自由な売買は行えません。また、クラウドファンディングでは投資的側面以上に応援や寄付の性質が強いことも特徴です。

ICOにおいてもクラウドファンディングのような仕組みづくりができれば悪質な業者を市場から排除できるのではないかとの意見もありました。

規制作りの上で参考となる既存IPOの規制

資金調達を行うケースとして現在の枠組みにおいて一般的なのが株式等によるIPOですが、ICOについてもIPOと似た機能やリスクを持っていることから類似の規制がかけられる可能性も大いに考えられます。
IPOの場合は免許制の金融商品取引所や認可制のPTS、あるいは免許制プロ向け市場に取り扱いが限られています。このように出入り口を制限することで適切に規制が適用されるよう図られています。規制としては、不公正取引規制の他、相場操縦の禁止やインサイダー取引規制等も適用されています。これらのうちどこまでがICOにも適用されるかは引き続きウォッチする必要がありそうです。

各国のICOに関する法整備の状況

日本で目下規制に向けた話し合いが進められているICOですが、世界の他の国々ではどのように扱われているのでしょうか。主要国における法整備の状況を紹介していきます。

中国:ICOによる資金調達は全面禁止

中国政府はICOによる資金調達を全面的に禁止としました。これには3つの理由があると言われています。一つは投資家を保護するという目的。二つ目は資本流出を未然に防ぐという目的。そしてさらに3つ目の目的として政府の金融統制を守るための措置として必要であるという理由が挙げられます。ICOが広く普及すると、企業はインターネットを通じて容易に資金調達を行うことができますが、資金調達の自由化・民主化は中国政府を脅かし経済秩序を乱すものであると認識されているようです。

韓国:あらゆるICOが禁止

韓国では2017年10月にあらゆる形のICOを禁止するとの発表がありました。およそ100万人がビットコインを保有していると推計されるほどよ仮想通貨大国である韓国ですが、利用者の増加に伴い規制の強化を求める声が高まっており、ICOについても詐欺のリスクがあるとして禁止される運びとなりました。

韓国金融委員会(FSC)の発表によると、あらゆる形のICOが禁止となるとともに、デジタル通貨の信用取引も禁止されるとのこと。ICOが禁止となったのは、資産バブルのリスクが高く、また詐欺や市場操作の被害が横行していることが理由であるとのことです。一方で、この規制はデジタル通貨取引の制度化に向けた動きではなく、状況を鑑みて今後規制を改善する意向であると表明しました。

アメリカ:規制当局が一部のトークンについて有価証券に該当するとの見解を公表

アメリカではまだICOに関する規制が敷かれていないものの、アメリカの証券取引所委員会(SEC)は一部のトークンについて有価証券に該当するとの見解を示しています。具体的には、イーサリアム上で発行されたトークンであるDAO(The DAO)について、1933年証券法を根拠に証券であると位置付けたレポートを発表しています。

DAOはかつて盗難に遭いイーサリアムにハードフォークを実施させコミュニティを分裂に追い込んだことで話題になったトークンです。The DAOの事件を受けて、同レポート内では認可を受けないICOによる資金調達は「証券取引法」に基づいて処罰の対象となると明記しました。あくまで認可のないICOが禁止というだけで、中国や韓国のような全面禁止には至っていません。

フランス:投資家保護のため事業計画を審査

フランス政府も健全な仮想通貨市場の保全のためにICOを規制する方針を打ち出していますが、多くの国がICOを禁止するなど厳しい態度を取る中で、フランスは規制をかけつつも推奨する方針とのことです。

ICOでの資金調達を行う企業にライセンスを付与する権限を持つのは、国内の株式市場を監督する金融市場庁(AMF)。同庁は出資者保護のための法整備も行なっており、ICO周りを包括的に管理しています。企業はトークンを発行する際にAMFにプロジェクトの内容や会社情報などを提供し、ライセンスを申請しなくてはなりません。これにより危険度の高い案件も多いICOに保証が付与され、国内のみならず世界かも投資が集まると期待されています。

フランスのエマニュエル大統領はICOを含めた革新的なテクノロジーに積極的な姿勢を示しており、フランスをスタートアップ国家として盛り立てていくことを宣言しています。

スイス 規制当局が指針を公表。一部を証券規制の対象に

世界有数の金融大国であるスイス。2018年2月に発行したICOガイドラインによると、各ICOは独立して判断されることになり包括的な規制は設けられないとのことです。

スイスではICOのトークンを3つに分けて定義しています。1つは決済手段としてのトークン。こちらは既存の対マネーロンダリング法の規制対象となります。2つ目が、アプリケーションやサービスへのアクセスを提供する、所謂ユーティリティートークンと呼ばれるトークンです。こちらのトークンに対しては特に規制は敷かれません。最後は資産を表すアセットトークンですが、これは通常の資産同様に証券法や民事法に準ずることになります。

包括的な規制こそ設けられなかったものの、既存法の参加にトークンを組み込んだことで世界的に見て相対的に厳しめの規制下に置かれることとなったスイスのICO市場。ICO黎明期にはスイスが世界有数のICO国家となる道筋も見えていましたが、現状を鑑みるとその地位は既に他国に譲られているように見受けられます。

まとめ:規制は不可避の流れの中実効性のある規制整備が求められる

世界的に見てもICOに対しては規制を敷く流れとなっており、杜撰なICOや詐欺まがいの案件も後を絶たない現状を鑑みると日本においてもなんらかの規制を設ける流れはもはや不可避と言えそうです。一方で、ICOがスタートアップ企業や中小企業の資金集めにとって有効な手段として重宝されているのは事実です。ビジネスの芽を不用意に摘まず、かつ悪質な案件には厳しい規制をかけていくことが望まれているのではないでしょうか。最後まで読んで頂きありがとうございました。