導入
イスラエルのブロックチェーン・スタートアップである「StarkWare Industries(スタークウェア・インダストリーズ)」は29日、3000万ドルの資金調達ラウンドを完了したと発表しました。
スタークウェア・インダストリーズは、2018年に設立したスタートアップで、ブロックチェーンにおける透明性の高いプライバシー、トランザクションスループットの向上、オフチェーン計算など、量子セキュリティ耐性のある暗号証明を提供します。
同社はゼロ知識証明プロトコルである「STARK」を開発し、ブロックチェーン用途におけるプライバシー保護とスケーラビリティ拡張性において強みを発揮します。
資金調達ラウンド
1st
5月に完了した6000万ドルのシードでは、Ethereum創業者のヴィタリックブテリン氏、Tezosのアーサー・ブレトマン氏、NEOのDa Hongfei氏、マイニング大手Bitmain、Zcash Co、ブロックチェーン特化のヘッジファンドPolychainなどが投資しています。
2nd
今回の3000万ドルの資金調達ラウンドでは、米仮想通貨取引所大手のコインベースの共同設立者フレッド・エールサム氏が設立したヘッジファンドであるパラダイムを始め、セコイア、パンテラキャピタルなどが参加しています。
数学に優れた専門エンジニアチーム
Zcashの基盤となる技術である「zk-SNARK」を開発した研究者を含むチームによって設立されています。
チーフサイエンティストに、イスラエル工科大学教授でZcash協同設立者のEli Ben-Sasson氏、UC Berkley教授でZcash共同設立者のAlessandro Chiesa氏を迎え、チーフアーキテクチャーにイスラエル名門校のTechnionの博士候補者のMichael Riabzev氏などで構成されます。
ゼロ知識証明とは?
ある当事者(証明者)が、そのステートメント自体の正当性を超える情報を明らかにすることなく、ステートメント(状態)が真であることを、検証者が証明することを可能にする匿名技術です。
例えば、乱数のハッシュ値が与えられた時、証明者は実際に存在することを明らかにすることなく、このハッシュ値をもつ数が範囲内に存在することを検証者に納得させることが可能になります。
情報技術の更なる普及により、情報の取り扱いが簡単になってきた一方で、最近では特に情報の取り扱い(機密性の高い情報)への管理体制を強化することが必要とされています。
まとめ
イーサリアム創業者のブテリン氏をはじめ、クリプトキャピタルの多くが1st、2ndのラウンドにおいて、多額の出資を行っています。
仮想通貨はセキュリティ性高く仲介者なしでの価値の移転が可能な一方で、分散的な記録性質とアドレスの追跡により、プライバシー性が損なわれてしまう可能性もあります。
こういった特徴は、機密性の高い情報の取り扱い(企業の詳細な取引情報や個人資産やそれに関する個人情報など)においては適しません。
そういった需要に備えた動きが、今回のStarkware Industriesのゼロ知識証明以外でも、カード決済最大手のVisaがサイバー犯罪耐性のあるブロックチェーンプラットフォームの提供、オランダの大手銀INGがゼロ知識証明のオープンソースを連続して発表していること、仮想通貨Enigmaがプライバシー性の高いスマート契約の開発を続けていること、など多くのトレンドがみられています。