中国ECモール大手のアリババは24日に、同社のクラウドコンピューティング部門である「Alibaba Cloud BaaS(BlockChain as a Service)」を中国国内のみならず、米国、ヨーロッパ、東南アジアにも展開していくことを発表しました。アリババクラウドの公式ブログで明らかになりました。
アリババのブロックチェーンサービスを中国国外にも展開していく
中国最大のECモール事業を展開するアリババ・グループは、同社が運営するクラウドコンピューティングサービスAlibaba CloudにおけるBaaS(BlockChain as a Service)を中国国内のみならず、米国、ヨーロッパ、東南アジアにも展開することを発表しました。
BaaSとは、クラウド上でブロックチェーンが利用できるサービスです。BaaSはあらかじめ必要な設定がされており、導入後は即座に利用することができます。
メリットとしては、企業やサービスが一からシステムを構築する必要がなく、ベースとなるブロックチェーンはすでにあるため、アプリケーションの開発に専念することができます。
BaaSはブロックチェーンへの参入を容易にしていることから、ブロックチェーン分野が盛り上がりをみせている現在において、ブロックチェーンを大きく普及する方法の一つとして考えられています。
Alibaba Cloud BaaSでは、HyperLedger FabricとAnt BlockChainの2つのプラットフォーム上でブロックチェーンアプリケーションをサポートしています。
HyperLedger Fabricは、The Linux FoundationにホストされているHyperLedgerプロジェクトの一つです。HyperLedgerは10のビジネス向けブロックチェーンと分散型台帳技術(DLT)を開発しているプロジェクトになります。
Ant BlockChainは、アリババ・グループの金融関連会社であるAnt Financial Services Groupによって独自に開発されたブロックチェーンです。
BaaSのセキュリティは、信頼できるコンピューティングと安全なコンソーシアムのブロックチェーンネットワークによって保護されているという。これによってユーザーはAlibaba Cloudの効果的で信頼性の高いプラットフォームで独自のアプリケーションを構築することができます。
Alibaba Cloud BlockChain Serviceのシニアエンジニアはこう述べています。
「Alibaba Cloudは、インテルSGXセキュリティ技術の最初のブロックチェーンサービスプロバイダーであります。アリババ独自のブロックチェーンを利用したい企業がデジタルトランスフォーメンションを加速できるようにする技術パートナーになることを目指しています。」
BaaSにはアリババだけでなく、アマゾンやマイクロソフトなど大手企業が参入
BaaS分野にはIT大手の企業が続々と参入しています。
アマゾンのAWS Blockchain Templateは2018年4月に発表されたばかりのサービスです。
AWS Blockchain Templateでは、パブリックまたはプライベートのEthereumネットワークとプライベートのHyperledger Fabricネットワークを稼働させることができます。
利用料金については、ブロックチェーンネットワークの実行に必要なAWSのリソースの料金だけで利用することができます。
マイクロソフトが運営するMicrosoft Azureは、比較的早い段階からスタートしており2015年にはEthereumネットワークのベータ版が提供されました。
現在では、プライベートまたはパブリックEthereumブロックチェーン、HyperLedger Fabric、Enterprise Ethereum Allianceが提供するQuorum、BlockAppsブロックチェーンなど多数のブロックチェーンやアプリケーションが提供されています。
利用料金については、無料のものから時間単位のもの、ライセンス制のものなどアプリケーションによって異なる料金になります。