目次
導入
Visaは、クロスボーダー決済を簡単かつ迅速かつ安全に処理するように設計されたブロックチェーンベースの分散元帳プラットフォームである「B2B Connect」を2019年第一四半期にローンチすることを、プレスリリースにて発表しました。
これはリップルのILP(インターレジャープロトコル)に近い機能で、国際的な決済における支払いの拡張性を提供します。
B2B Connectとは?
VisaビジネスソリューションズのKevin Phalen氏は「B2B Connectは、グローバルに展開する企業が国境を越えた高額な決済を行うことを容易にします。サプライチェーン、貿易金融、機関投資銀行など、様々な業種の金融機関への支払いを以前より円滑にします。」と述べています。
B2B ConnectのデジタルID機能は、銀行間の取引における企業の詳細情報や口座番号などの機密性の高い情報をトークン化し、プラットフォーム上におけるトランザクション処理を容易にできる一意の識別子を与えます。
このデジタル識別機能により、安全性、セキュリリティ、カバナンスなどをひとつのソリューションに一元化することが可能になり、ビジネス間の取引における情報交換を変革させます。
また、同機能が、小切手、ACH(小口決済システム)、電子送金における詐欺の機会を大幅に削減することが可能になり、金融エコシステムの一部としての企業のコンプライアンス遵守を支援します。
拡大するパートナーシップ
Visaは来年の商用ローンチの準備として、B2B Connectのプラットフォームへの機能追加のためのパートナー提携を進めています。
Linux Foundationのオープンソースである「Hyperledger fabric framework」とVisaのB2B Connectを統合しています。これは、スケーラブルで許可されてセキュリリティ性も安全なネットワーク上で金融取引を実現するための改善されたプロセスを提供するのに役立ちます。
ハイパーレジャーファブリックフレームワークの開発元であるIBMとも提携し、相互に金融機関の顧客ネットワークとエコシステムを最大限に活用できるようにします。
金融サービス技術においては、「Bottomline Technologies(ボトムラインテクノロジーズ)」が複雑なビジネス支払いをシンプルでスマートで安全なものにするリーディングプロバイダーとしての基盤技術を開発に生かし、プロセスを簡略化し、効率を高め、付加価値を提供することを目指します。
サイバー犯罪への対策
サイバー犯罪は630億ドル規模であると見積まれており、Visa副会長兼リスク責任者はインターネットに付随する決済リスクの改善とパスワードに替わるバイオメトリクス認証の必要性について言及しています。
今回発表されたデジタルID識別子は、カードの詳細などの機密性の高い情報をトークンに置き換えることで、エコシステム全体における支払いとデータを安全に保つことができます。
最近では同プログラムの利用をオンラインDVDレンタル及び映像ストリーミング配信事業を手掛ける「Netflix」が同社の拡大に伴って発表し、安全な顧客体験と商取引を保証しています。同社は1600万枚の顧客を獲得しており、業界内で高いシェアを得ています。
デジタル機器の普及と発展により、消費者と個人はこれまで以上に多くの側面で接触することができるようになったが、同時に企業はこれらの顧客情報を安全に管理する必要性が高まっています。これは企業どうしの取引にも同じことがいえます。
先日、膨大な個人情報データを保有する「GAFA」のずさんな管理体制(ハッキング被害)に対して、EUが個人情報保護や独占禁止法の規制を強化するなど、国が情報の取り扱いに関する警告を促す潮流になってきています。
Visaとクレジットカードについて
Visaとは?
クレジットカード五大国際ブランドの「Visa」「MasterCard」「JCB」「AMEX」「ダイナースクラブ」のひとつです。
世界200以上の国・地域の約4000万店で利用することができます。二大勢力であるVisaとMaster Cardは販路拡大のエージェントが同じであるという背景から、加盟店の数がほぼ同数になっています。
そして、同社の提供するグローバル処理ネットワークである「Visa Net」は、世界中で安全で信頼性の高い支払いを実現し、一秒間に65,000の取引メッセージを処理することができます。
クレジットカードとは?
クレジットカードとは、商品を購入する際の決済(支払い手段)の一つ。又は、契約者の番号その他の情報が記載されたカードのこと。
分割払いの機能をもつものをクレジットカード、即時払いのものをデビットカードといいます。
クレジットカードには、磁気ストライプによるものとICによるものがあり、ICで決済が行われた場合は、署名に代えて暗証番号の入力を行うことで決済を行うことができます。
法人カードについて
法人(主に大企業)を対象に発行される経費決済カードを「コーポレートカード」といいます。利用限度額は法人または部署単位で設定されており、契約形態によるが法人側が任意に発行枚数または利用者を設定できるような仕組みになっています。
主に、接待費や出張費、消耗品などの法人の経費を出費する時に使用され、それらの費用はカード会社が立て替えるため、法人側は支払い日まで現金を用意する必要がなく、カードの利用分は経費などが明細書によって加盟店で幾ら使ったか確認できるようになっています。
Visaのシェア率
<カード決済の売上高の世界シェア(クレジットカード+デビットカード)>
順位 |
シェア |
ブランド名 |
1位 |
55.52% |
Visa |
2位 |
26.27% |
MasterCard |
3位 |
13.0% |
Union Pay(中国銀聯) |
4位 |
7.3% |
Amex |
5位 |
2.8% |
JCB |
6位 |
2.2% |
ダイナースクラブ |
出典:「The Nilson Report(ザ・ニルソン・レポート)2015」
まとめ
グローバルに決済ネットワークを展開するVisaにおいて、企業や個人の情報の取り扱いへの注意を高める必要性があります。
リップルのような機能を備える分散型台帳の相互運用性と、Visaネットワークの高性能な処理能力、機密性の高い情報をトークン化するデジタルID識別子、必要性の高い業界の企業とのパートナーシップなどで、B2B Connectの性能の更なる向上を目指します。
既に、B2B Connectは、米国のいくつかの数行の他、韓国の新韓銀行、フィリピンのユニオン銀行、シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行などの参加が決まっており、提携先のネットワークを含めて、今後加入銀行が増えていくと予想されるでしょう。