マネーロンダリングなどの対策に国際的に協力を推進するために設立された機関FATF(金融活動作業部会)が来年6月までに世界的な仮想通貨規制ルールを定めることを発表しました。
来年6月までに世界的な規制ルールを
マネーロンダリングの監視などを国際的に協力を推進している政府機関、FATF(金融活動作業部会)の総会が、19日に開催され世界204の国や地域から司法関係の代表が出席し、仮想通貨の規制についても話し合われることになりました。
来年6月までに仮想通貨の規制ルールを作成し、世界各国にその規制を元に国ごとの具体的な規制方針を決めてもらう狙いがあると言います。
今後、仮想通貨に対しても世界中の規制当局にマネーロンダリングやテロ資金対策のため仮想通貨取引所にライセンス発行を求めるとして、ライセンス対象業者は仮想通貨取引所や暗号ウォレット提供者の他、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の発行者など多岐に渡ります。
なお、各国の規制の状況に対し定期的な調査に入り、もし遵守していない場合や不十分な規制などが発覚した場合、世界の金融システムへのアクセス権の制限などFATFのブラックリスト入りになるとのことです。
今までのFATFの規制方針には法的権限がなかったものの、今回は金融システムへのアクセス権の制限など強行な姿勢を見せていてどのように取り組んでいくのかが今後の課題となりそうです。
FATFの委員長、マーシャル・ビリングスリー氏は、
「来年6月までにはFATFとして、基準と各国の施行に向けてのプロセスに関し、追加の指示を出す予定だ」
と話しています。
G20各国からも注目が集まっていた
今年の7月に行われたアルゼンチンのブエノスアイレスのG20では、仮想通貨の国際的な基準をどのようにするのか10月に明確化することを共同で要請していました。
3月のG20でもFATFに「基準の見直しに期待し、FATFに対し世界的な実施の推進を要請する」と共同声明を出していて、今回は10月までという期限付きの要請を出し、それに応える形でFATFは9月に中間会合を開き、FATFの基準をどのように仮想通貨に適用するのかを協議した後、10月に仮想通貨への基準について明確化し発表する予定としている報告書を発表しています。
FATFは2015年6月に仮想通貨規制に関するガイダンスを公表していて、仮想通貨取引所の登録制・免許制導入、顧客の本人確認(KYC)や疑わしい取引の届け出、記録保存の義務化などを課すべきとの声明を出しています。
なお、G20は仮想通貨のアンチマネーロンダリング(AML)の基準の明確化もFATFに求めていて、今までの金融業界に対するマネーロンダリングなどの規制が新しい仮想通貨業界にどのように適用できるのかなども課題として上がっています。
FATFが今回の総会後に出した声明では、「犯罪やテロ行為への仮想通貨使用を防ぐための協調的な行動が、喫緊の課題として世界の全ての国に求められている」と述べ、
「FATFは仮想通貨資産サービスを提供する事業者のリスクを評価し適切な規制を行うため、ガイドラインの段階的な更新をしていく。内容にはそれらのサービス提供事業者の監督と監視、および司法当局を対象とした仮想通貨に関連する不法行為の特定や捜査も含まれる予定だ」
と発表しています。
今月のG20では何が話し合われたのか?
今月のG20はFATFの総会での発表後に開催する方向でいました。その後、発表されたFSB(金融安定理事会)のG20のフォローアップ報告書によると、現時点では仮想通貨は世界的金融の安定を脅かすものではないが監視は必要であるとし、仮想通貨が一般的に支払いや決済で用いられるようになれば時価総額や資産効果によって金融へも影響を及ぼすようになる可能性が高いとしています。
引き続き人気を集めていけば、投資家がこの領域へ移っていくがゆえに、ますます既存の金融の安定に影響を及ぼすようになりいつの日か既存の金融システムを脅かすことになると結論付けています。
なお、日本はコインチェックのハッキング以降、実はFATFの方針に沿って規制を決めていて交換事業の登録もこれに準拠している形になります。
さらに来年は日本がG20の議長国となり新ルール制定後どのように動くのかが気になる所です。仮想通貨やブロックチェーン業界に対し、出遅れている日本ですがここで巻き返し、各国を率先して見本となるような存在になれば仮想通貨の先進国となれるのかもしれません。