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ブロックチェーンでチケット転売防止!京大発スタートアップLCNEMが「Ticket Peer to Peer」を発表

ブロックチェーンの特徴の一つに一度書き込まれた情報を書き換えることができない、というものがありますが、近年、その性質を利用してさまざまなサービスが生み出されています。中でも注目を集めるのがチケット販売におけるブロックチェーンの利用です。チケット販売には紙チケットの偽物問題や高額転売問題などの懸念点が山積していますが、ブロックチェーンの利用によって解決できるのではないかと期待されています。

20189月、日本からもチケット販売に関するブロックチェーンを用いたサービスがリリースされました。それが「Ticket Peer to Peer」です。いったいどのようなサービスなのか、特徴や可能性を見ていくとともに海外でリリースされたブロックチェーンのチケットサービスなどについても紹介いし、ブロックチェーン×チケットの業界全体の将来性を考察していきます。

京都の会社LCNEMが開発した、ブロックチェーンを利用したチケットシステム

今回日本において公開されたチケットシステム「Ticket Peer to Peer」をリリースしたのは京都府京都市に本社を置く株式会社LCNEMです。NEMのブロックチェーンを利用したチケット管理システムである「Ticket Peer to Peer」ですが、どのような仕組みをとっているのでしょうか。

Ticket Peer to Peerの仕組み・特徴

多くの場合、ブロックチェーン上でチケットシステムを構築しようと考えるとブロックチェーン上でトークンをやりとりするといった方法となります。しかしこのシステムが革新的なのは、ブロックチェーン上のアドレスそのものがチケットとなるという点です。具体的には、チケットとなるブロックチェーン上のアドレスがブロックチェーン上で何もトランザクションを受け取ったことがない場合、そのアドレスは有効なチケットとみなされます。なんらかのトランザクションを受信した時点でチケットは無効になります。公式サイトによると主な特徴は以下の通りです。
  1. 転売対策が容易
  2. どのような形式のウェブサイトにも自由なデザインを埋め込むことができる
  3. あらゆる支払方法を設定することができる
ブロックチェーンを利用したシステムと聞くと馴染みのない人にとっては難しそうに聞こえますが、イベント主催者にとってもチケット購入者にとっても利用しやすいように設計されていることがわかります。以下でその詳細を紹介していきます。

転売対策が容易

転売はチケット業界において大きな問題となっています。人気のチケットは転売サイトなどで定価以上の金額で売買されています。特に、いくら高値で売れても運営元に利益が還元されない点は問題視されています。経済学的には供給量を増やすというソリューションも考えられますが、それがなかなか難しい公演等も多い状況で、Ticket Peer to Peerはシステム的なソリューションを提供しようと試みているのです。
先ほどTicket Peer to Peerの仕組みについて、なんらかのトランザクションを受け取った時点でチケットが無効になると説明しました。この「なんらかのトランザクション」は受付時の担当者によるものだけでなく、誰でも送信することができるようになっています。つまり、もし当該チケットが転売されていることを発見した場合発見者がトランザクションを行いチケットを無効化することができるのです。
誰がいつチケットを無効化したかはパブリックブロックチェーン上に改ざん不可能な状態で公開されるため悪意を持った無効化は起こりづらく、また無効化に貢献した人に対してブロックチェーン上で報酬を与えることもできます。従来も転売を通報する人はいましたが、誰が一番初めに通販したかを透明性を持って後悔することができなかったためリワーディングシステムの導入は難しいと考えられていました。Ticket Peer to Peerの転売対策はまさにブロックチェーンの利点を最大限に活かした機能であると言えます。

どのような形式のウェブサイトにも自由なデザインを埋め込むことができる

Ticket Peer to Peerは、API形式ですべての処理が可能であるため、どのような形式のウェブサイトであっても簡単に利用することができ、サイトに自由なデザインで埋め込むことができます。メール形式でもフルカスタムが可能です。従って、購入者はイベントの詳細ページやメール画面からページ遷移させられることなくそのままチケットを購入することができるのです。購入までにいくつもタブを開く必要があった既存システムと比べるとストレスフリーで購入可能です。従来、画面遷移の間に購入意欲を喪失していたような層にも購入してもらうことができます。また、GmailからのチケットQRコードの送信や、スプレッドシートの管理などをひとまとめにしたGoogle Appsも公開しています。

あらゆる支払方法を設定することができる従来のチケットシステムであれば、クレジットカード、PayPal、コンビニ払いなど、支払方法は有限でした。しかしTicket Peer to Peerでは支払方法もフルカスタマイズすることができるようになっています。従って、法定通貨やそれに準ずる支払い手段以外にもビットコインなどの仮想通貨や、LCNEMのステーブルコインを利用することもできます。

Ticket Peer to Peerはすでに実用の予定も

どんなに優れたシステムであっても実際に利用されなければ元も子もありません。特に、こういった革新的なシステムの場合は実際の利用を重ね実績を作っていくことが利用拡大にむけて非常に重要です。Ticket Peer to Peerは既にBlockChainJam2018で実際に使用されることが決まっています。BlockChainJam2018とは、ブロックチェーンによってこれから起こる世の中の変化や現在実際に進行しているプロジェクトを紹介することで一足先に未来の変化を知り実感できるというイベントです。開催は1日限りとなっています。まさにブロックチェーン技術を利用した次世代のチケットシステムのお披露目の場としてはぴったりです。

その後の具体的な提携予定などについては今のところ公表されていませんが、より多くのイベントやLIVEで利用されるシステムとしていくために大手イベント企業・エンターテイメント系企業などとの提携を狙っていくとのことです。

Ticket  Peer to Peerを発表したLCNEMとはどんな会社?

Ticket  Peer to Peerをリリースした株式会社LCNEMとはどのような会社なのでしょうか。ブロックチェーンを利用したシステム開発や、ブロックチェーン利用のコンサルティングを主に事業を行う会社ですが、実はLCNEMの主力商品はTicket Peer to Peerではなく先立ってリリースされているステーブルコインと呼ばれる送金システムです。

このステーブルコインは世界で初となる日本円のペッグ通貨となっています。LCNEMはNEMのモザイク(手数料を支払うことでトークン名の名前空間を利用できる枠組み)という独自トークン発行機能を使うことでステーブルコインを発行しており、これによりブロックチェーン並びに仮想通貨のさらなる普及を目指しているとのことです。

ペッグ制、すなわちある通貨(この場合は日本円)と価値が固定されている通貨ということで、従来の仮想通貨の欠点であるボラリティの大きさを回避することができ、実際の決済に利用しやすい通貨になっています。それに加えて送金コストの低さ、安全性などの仮想通貨が持つメリットを持ち合わせているため、普及すれば利便性はかなり高くなりそうです。

このような事業を行う際には通常、仮想通貨交換業者としての登録が必要になりますが、LCNEMではまた、ステーブルコインを前払式支払手段(プリペイドカードのように法定通貨でポイントを購入するような仕組み)として販売することとしており、仮想通貨交換業者としての登録は行わないとのことです。

前払式支払手段は一定額を超えると、国に供託、つまり担保資産を預けるという規制があるので、価値に裏付けのない通貨が発行される心配はなく、ユーザーとしても安心して利用できそうです。担保資産の供託に関する根拠法令文は以下の通りです。

3月末あるいは9月末において、発行していたのる前払式支払手段の未使用残高が1,000万円を超えたときは、その未使用残高の2分の1以上の額に相当する額を最寄りの供託所に供託する必要があります(発行保証金の供託・資金決済法第14条)。

尚、LCNEMのステーブルコインは法定通貨への直接の出金には対応しておらず、Amazonギフト券やKyashという別の種類の前払式支払手段との交換に対応することで額面の価値を保っています。

今の仮想通貨規制の状況において、スタートアップ企業が「仮想通貨交換業者」として登録を受けることは非常に難しくなっています。そのような状況において前払い式支払手段という選択は提供したいサービスと顧客の安心とのバランスを上手くとった方法だと言えるのではないでしょうか。

ブロックチェーン技術を用いたチケット関連のプロジェクト

チケット販売における新しいサービスとしてTicket Peer to Peerを紹介しましたが、実は世界では既にブロックチェーンを用いたチケット販売プラットフォームが稼働し始めています。以下ではその中でもいくつかを抜粋して紹介します。

チケットテクノロジーの専門会社「SecuTix」の技術でUEFAスーパーカップ決勝のチケットがブロックチェーン化

欧州サッカー連盟(UEFA)は、2018年8月15日のUEFAスーパーカップにおいて試合のチケット全てをブロックチェーンベースのID認識技術による電子チケットシステムで販売しました。紙チケットは全て廃止され、専用アプリでチケットの配布を行ったとのことです。

チケット購入者は、スマートフォンに紐付いたアプリのダウンロードリンクと個別コード付きのテキストメッセージを受け取ります。この2つを用いてアプリにサインインすれば電子チケットを受け取ることができる仕組みとなっています。スタジアムの入り口ではBluetoothデバイスでチケットアプリのアクティベーションが行われます。ユーザーはログインに使ったスマートフォンとID認証したアプリでQRコードを取得し、ゲートを通過します。

電子チケット販売にはエンターテイメント業界で活用されるチケットテクノロジー会社「SecuTix」の技術が導入されています。UEFAとSecuTixは電子チケットプラットフォームの長期契約を2021年まで締結しており、2020年に開催されるヨーロッパの主要大会Euro2020でもSecuTixの電子チケットが導入されるとのことです。

さらに、UEFA主催の主要大会の公式チケット転売プラットフォームもSecuTixが担当することになります。違法なチケット転売や詐欺行為が防止できるという電子チケット導入によるメリットは、大規模なファンを抱えるスポーツやエンターテイメント業界のイベント運営側にとって利益を確実に確保するという面で重要な要素と言えます。

電子化が完了すれば、エンゲージメントの高いファン層に対してスマートフォンアプリを通じたプロモーションキャンペーンやギブアウェイなどを展開するなどの発展的なビジネスの可能性もあります。

ロンドン発のAventus(アヴェンタス)

ロンドンのAventus(アヴェンタス)が提供するのはブロックチェーンを用いてチケットの転売を防ぐ仕組みです。Aventusが法外な価格でチケットが転売されることを防ぐ仕組みは以下の通りです。まず個人情報がハッシュ化され、イーサリアムのブロックチェーンを使ったAventusのブロックチェーンプロトコルに加えられます。チケットの情報はブロックチェーン上にあり、個人情報と結び付けられています。チケットの持ち主がAventusのプロトコルを通じてチケットを他のユーザーに転売すると、受取人はチケットに結び付けられた個人情報を自分のものに変更します。ここで言う個人情報とは、顔や声、クレジットカードなどを指し、偽装できません。

イベント主催者は、チケットを転売可能にするか、禁止の対象とするかを任意で決めることができ、さらに転売の利益を受け取ることができるように転売の最低価格や最高価格を決めることもできます。

Aventusは既にイベント主催会社ブルーホライズンエンターテイメントとプロトコルを実行する契約を結んでおり、1万〜1万5千人の集客が見込まれるイベントでAventusのプロトコルの試験運用が行われるとのことです。

ダブリンのTicketChain(チケットチェーン)

アイルランドのダブリンの会社がリリースしたTicketChain(チケットチェーン)も先ほど紹介したAventusと同じくイーサリアムのスマートコントラクトを使用したチケットシステムです。TicketChainは紙のチケットを廃止しチケットをすべてブロックチェーン上で発行しようと試みています。

ブロックチェーン上でチケットを管理すればチケットの持ち主をすべて辿ることができますし、高額で転売を防ぐことも可能です。一方で、チケット販売分野においてはチケットマスターのような大手などが覇権を握っており、スタートアップ企業がどのようにそこに割り込んで行くかが味噌となりそうです。

TicketChainは既にダブリンのトリニティカレッジの学生たちと協力して学内イベントなどのチケット販売を試験的に行う計画を立てているとのことです。

まとめ:チケット販売分野におけるブロックチェーン技術の導入は需要高。今後の伸長が見込める

従来の紙チケットや電子チケットの販売には偽物や転売といった問題が山積しています。これらの問題をテクノロジー的な側面から解決する試みは時代の潮流とも合っており、今後利用が広がる可能性も大きいです。チケットの利用者の多くはブロックチェーンの知識を持たない一般の人なので、使いやすいインターフェイスなどを追求したTicket Peer to Peerは今後広く受け入れられていくかもしれませんね。最後まで読んで頂きありがとうございました。