Googleが提供している企業向けビッグデータ解析クラウドサービスBigQueryにて、分散型アプリケーションプラットフォームEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンデータを解析できるようにしたと発表がありました。8月30日にGoogleCloudの公式ブログで明らかになりました。
Google、Ethereum(イーサリアム)のデータセットを提供開始する
Ethereumのブロックチェーンデータは、BigQueryに保存され分析できるようになります。
Googleは2月にもBitcoinのブロックチェーンデータを解析すると発表しており、今回は2つ目のブロックチェーンデータの追加となりました。
Googleの説明では、EthereumブロックチェーンのP2P(Peer to Peer)ソフトウェアは、トランザクションの状態確認、ウォレットとトランザクションを関連付ける検索、ウォレット残高の確認など、一般的に使用されるランダムアクセス機能のAPIを備えています。
ところがAPIエンドポイントには簡単にアクセスできてなく、従来のAPIではブロックチェーンの全ての情報を簡単に引き出すことはできていませんでした。
BigQueryではブロックチェーンデータの分析をアドホックかつ一般的にサポートする強力なOLAP機能によって可能となっています。このOLAP機能には追加APIの実装を必要としていません。
BigQueryにEthereumブロックチェーンデータの保存がされるプロセスは以下のとおりです。
- EthereumブロックチェーンをGoogle Cloudのパリティを実行するコンピュータに同期されます。
- トークン転送などのスマートコントラクトのトランザクションの結果を含む、Ethereumブロックチェーンの元帳からのデータを毎日抽出します。
- 簡単かつ費用対効果の高い検索をおこなうために、日付区切りのデータを整理してBigQueryに保存します。
このプロセスによってすべてのデータはBigQueryのEthereumデータセットに保存され、毎日更新されていきます。
Googleは1日に集計された総Ether転送および平均取引コストのチャートを例に、
出典:Google Cloud
こうした視覚化は、ビジネスの意思決定、イーサリアムのアーキテクスチャの改善の優先順位付け、バランスシートの調整などに役立つとしています。
BigQueryではどういったことが分析できるのか
BingQueryの分析で人気のあるトピックの一つとして、人気のあるスマートコントラクトイベントログを調べることが挙げられています。
出典:Google Cloud
Ethereumブロックチェーンでは、主にデジタルトークンの交換がおこなわれております。BigQueryでは、データセットのトランザクションとコントラクトテーブルをクエリして、最もトランザクション数のあるスマートコントラクトを検索することができます。
トランザクション数で、最も人気のあるスマートコントラクトはERC-721であり、この規格が採用されている分散型アプリケーションゲーム「CryptoKittes」では活発にデジタルトークンの交換がされています。ERC-721コントラクトのソースコードを見てみると、CryptoKittesの出生イベントをブロックチェーンに記録しています。
※CryptoKittesは猫を飼育する分散型アプリケーションゲーム
出典:Google Cloud
上記の図はCryptoKittesに参加しているアカウントの家計図を視覚化したものです。少なくともこのアカウントは、10匹のCryptoKittesを所有していることがわかり、色は所有者、サイズはそれぞれの猫の生殖適合度を表しています。