目次
導入
今回、Pwcはブロックチェーンに関する調査を、先進国などの企業に向けて実施し、その調査結果を公表しました。
ブロックチェーンに関する調査の結果では、
4人に1人の幹部がブロックチェーンの実装または実験が進行中であることと、
中国が3~5年以内に主要なブロックチェーンの開発国として米国を追い抜くこと
が分かりました。
こういった結果に対して、PwcのブロックチェーンリーダーであるSteve Davies氏は、
「この調査は、多くの企業が、開発が初期段階で十分でなかったり、信頼と規制への懸念が残っていたりしても、ブロックチェーンの主流に取り残されたくないと考えてることを伝えています。
ブロックチェーンの改ざん耐性と透明性という定義によれば、信頼を生み出すはずですが、現実問題としてほとんどの企業がこの信頼の問題に直面しています。
その潜在性を最大限に引き出すためのブロックチェーンプロジェクトの作成と実装には、高度なIT技術一辺倒になるのではなく、ビジネスモデル、役割、プロセスの変革に焦点を置くことです。そのために、明確なビジネスケースとそれをサポートするITシステムが必要です。
うまく設計されたブロックチェーンの活用法では、仲介者の削減だけでなく、コスト軽減、プロセスの簡略化、リーチ、透明性トレーサビリティを向上させることなどが可能になります。
組織がエンドツーエンドで、その技術をスケールメリットを活用するように設計を適合させるなら、魅力的な利益を生み出すことができるようになるでしょう。」
と述べています。
Pwcとは?
プライスウォーターハウスクーパース(Price water house Coopers)は、ロンドンに拠点を置き、世界158か国18万人のスタッフを擁する国際的なサービスファームです。
デロイトトーマツ、KPMG、アーンスト・アンド・ヤングと並び、世界四大会計事務所・総合コンサルティングファーム(Big4)の一角を占めます。
会計監査、ビジネスコンサルティング、税務、法務などの総合的な業務を手掛けます。
調査結果
調査結果は先ほど導入で示した二点になります。詳しく説明していきます。
4人に1人の幹部がブロックチェーンの実装または実験が進行中であること
この調査は、15か国(オーストラリア、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、香港、インド、イタリア、日本、オランダ、シンガポール、スウェーデン、アラブ首長国連邦、英国、米国)/地域の役員600人の意見が審査されています。
先進国や技術に強い国の企業が対象にされていることがわかります。
ブロックチェーンイニシアティブを実施しているうち、実装15%、実験10%で25%を占めています。他に、開発が32%、リサーチが20%、一時停止7%という結果になっています。
中国が3~5年以内に主要なブロックチェーンの開発国として米国を追い抜くこと
世界中のブロックチェーン開発の主要市場をみると、米国(29%)と中国(18%)は現時点で同技術の開発を先導していると認識されています。
しかしながら、3~5年以内に、影響力と活動の中心が、中国(30%)に移行し、米国(18%)を追い越し、立場は逆転するとみられています。
中国は仮想通貨への規制を強化している一方で、ブロックチェーンに関するプロジェクトは国を挙げて取り組んでおり、特許の取得数もアメリカと競うほどです。
将来的な展望
そして、Pwcはこれらの調査結果を受けて、今後のブロックチェーンの活用に関して必要な分野として、正確なビジネスモデルの設定、エコシステムの構築、セキュリティ範囲の調整、規制の不確実性への柔軟な対処という四点を挙げています。
正確なビジネスモデルの設定
目的を明確にして、より大規模な活用を目指すために、他の参加者が理解し調整することができるようにします。
エコシステムの構築
ブロックチェーンの活用はスケールメリットを生かすことでより魅力的になるので、業界の様々な企業が集まるべきです。
実際に、既にブロックチェーンを実装している調査回答者の15%のうち、88%がブロックチェーンコンソーシアムのリーダーもしくはアクティブメンバーでした。
セキュリティ範囲の調整
パートナーはアクセス許可に関するルール決めと標準化を必要とします。
法規制、コンプライアンス、サイバーセキュリティなどのリスク専門家を関与させることで、ユーザーや規制当局が信頼できるブロックチェーンの枠組みを確保することが必要になります。
規制への不確実性への柔軟な対処
ブロックチェーン開発者は、規制要件が次第に進展するのを待っているのが現状ですが、規制当局は監視の必要性があるとして警告しています。
なので、規制当局と協力して、環境の変化をある程度コントロールすることが大事になってきます。
まとめ
今回のPwcによる調査で、ブロックチェーンが直面する問題や現状、今後必要なことが調査データにより明らかになりました。
また、調査実施母体が四大監査法人のひとつとして数えられるPwcであるために、調査対象となる企業も有力企業が多いと考えられます。そのような企業の多くが、ブロックチェーンという技術に着目し、その潮流に乗り遅れまいと実装までは至らないにしても、開発・実験・実装を合わせると半分を占めるというデータに示されるように、注目度をしているいうことを物語っています。
ブロックチェーンの潜在性を生かすことができれば、様々なメリットが生まれるのは既成事実であり、そのための正確なビジネスモデルの設定など必要なことを突き詰めていくことが大事になります。