目次
導入
中国eコマース事業を展開する大手企業である京東商域は、新たなブロックチェーンサービス(BaaS)である「JD Blockchain Open Platform」を発表しました。
最近、中国ではブロックチェーン関連の事業の展開が著しい状況となっています。
詳細
利用のメリット
「JD Blockchain Open Platform」を活用すると、簡単に自社独自のブロックチェーンプラットフォームを構築することができるようになります。
ユーザーは一から構築する必要性がなく、クラウド上で簡単にスマートコントラクトの機能を調整することができます。
複数の基盤技術に基づいて構築されるため、商品の追跡、真正性の証明、生産性の向上などの面で効率化することができます。
エコシステムの仕組み
「JD Blockchain Open Platform」には、社内SE及びISV(Independent Software Vendors)いよって開発される、ブロックチェーンのボトムレイヤー、ツール、ソフトウェアなどが提供されえうアプリケーションストアが存在します。
アプリケーションストアは、製品に対する厳格な品質管理を実装されており、顧客となる企業ユーザーはビジネスニーズに柔軟に対応させて、アプリケーションを安全かつ便利にカスタマイズすることができます。
同社は、今後より多くのISVを導入することにより、堅牢なコミュニティと継続したアプリケーションの提供を目指す予定です。
最初の顧客
このサービスを導入した最初の顧客は、中国太平洋保険(CPIC)で、中国の微税システムで公式領収書の「発票」を発行するのに、ブロックチェーンシステムを活用するようです。
このシステムにおいて、各文書に一意のブロックチェーンIDを適用し、会計処理の合理化や電子請求書のセキュリティ強化を見込んでいます。
中国国内におけるその他のブロックチェーン関連の取り組み
中国ではブロックチェーンの活用に積極的です。
仮想通貨は全面的に禁止する意向を示しているものの、ブロックチェーンの活用事例は多くみられています。また、多くの顧客を抱える企業がそういったシステムを開発しているのも大きいでしょう。
更に興味深いことに、政府と企業が連携して開発に取り組んでいる傾向があります。
中国銀行と中国銀聯のブロックチェーン決済システム共同開発
政府系商業銀行である中国銀行(BOC)は、金融サービス会社の中国銀聯(チャイナユニオンペイ、COP)とブロックチェーンを活用した決済システムを共同開発する業務提携を結んだと発表しています。
市場の需要と規制要件に対応するためのものであり、国際モバイル決済の分野において、両社が協力し、更なる普及を目指します。
中国・深圳市、公式領収書をブロックチェーン活用で発行
10億人が利用するチャットアプリ「ウィチャット」を手掛けるテンセントと深圳市税務当局が提携し、公式のデジタル領収書がブロックチェーンを活用して発行されました。
従来の手続きでは、消費者は取引完了後、事業者が領収書を発行し、税務当局の金融部門へ提出され、処理されるのを待つ必要があります。
ブロックチェーンを活用することで、こういったインボイスの処理を、ウィチェット上でワンクリックで行うことができます。
一貫した領収書管理により、改ざん耐性や透明性だけでなく、ソースや真正性を辿った会計も行うことができます。
MITTによるブロックチェーン産業の支援
中国工業情報化部(MIIT)は、ブロックチェーンの導入を加速する方法を模索しています。
MIITはブロックチェーン産業の健全な発展を可能にするため、中国におけるブロックチェーンの応用を加速する数々の方策を政府に提案しています。MIITはブロックチェーンの応用を、金融セクターから電子預託サービス、サプライチェーン管理、モノのインターネット(IoT)等の他の産業へと、徐々に広げる考えです。
MIITは様々な地域や部局とより緊密に連携すると共に、コンピューターの演算能力とストレージを高めることによって、より堅固な産業エコシステムを構築する計画です。
中国の四台銀行のひとつである中国農業銀行、土地を裏付けにしたブロックチェーン融資を試す
資産規模4位の中国農業銀行は、貴州省の農地の一角を裏付けに、ブロックチェーン融資を子なったことを発表しています。
同銀行は、地元の茶産業の支援のためとして、国土資源部及び農業畜産部を先導したいという意図があったようです。
ブロックチェーン技術の導入により、顧客が同じ土地を担保として、異なる銀行で融資を申し込むという問題を防ぐことができるようです。
まとめ
今回は、eコマース事業を手掛ける中国企業が、ブロックチェーンプラットフォームを開発したニュースを取り上げました。
中国では立て続けにこういったニュースが発信されています。既に多くの顧客基盤を抱える大手企業が主導していたり、仮想通貨には厳しい姿勢をみせる政府や銀行などが、プロジェクトを進行させていたりと、将来性が期待できるものが多いでしょう。
中国は、ブロックチェーン関連の特許申請数も多く、国を挙げてブロックチェーン大国へ乗り出しているのかもしれません。
以下の記事で、特許についてのニュースを取り上げています。
ブロックチェーン特許戦争