仮想通貨投資会社ギャラクシー・デジタルのCEO、Mike novogratz(マイク・ノボグラッツ)氏は仮想通貨やブロックチェーン技術が一般的に普及されるのはまだ5、6年先と予測しました。
かつてウォール街で重役を務めたマイク・ノボグラッツ氏は、仮想通貨とブロックチェーンの一般普及には時間がかかるとの見解を発表し「まだ5、6年先」と予測しました。
同氏は仮想通貨投資会社のギャラクシー・デジタルの創業者でCEOでもあります。
先日、韓国で開催された「Beyond Blocks(ビヨンド・ブロックス)」というカンファレンスでは今後2、3年で多くの機関投資家が仮想通貨業界に参入するだろうと自信をみせましたが、仮想通貨とブロックチェーン・テクノロジーの一般普及自体は5年以上かかるだろう、との発言をしました。
ブロックチェーンの普及に時間がかかる理由とは
今回、マイク・ノボグラッツ氏により普及に時間がかかると予測されたのは幾つかの理由があります。
もちろん取り巻く環境で様々に理由はあるでしょうが最も大きな懸念点についてご紹介いたします。
・人材不足
ブロックチェーン分野は新しい技術であるために人材不足は大きな問題であり、各社ともに新たな人材の育成は急務となっています。
そのため、どうしても人材に対するコストが高くついてしまうことが懸念されています。
国内のブロックチェーン関連のエンジニアの人材募集でも年収7、800万円〜といった求人があり、他領域のエンジニアに比べて高収入を得られるジャンルとなっていることが伺えます。
各関連会社や機関においても採用や育成に力を入れており、今後の発展に向けて競い合っている状況です。
・先例がない
新たな技術ながら高いポテンシャルのため多くの期待が寄せられるブロックチェーン技術ではありますが、仮想通貨自体については未だ取り扱いについて各国が様々な見解を示しています。
金融商品として株式などと同じような扱いになるのか否かなど不透明なままでは、より多くの投資家は投資に踏み込むことは難しいでしょう。
個人投資で盛り上がりを見せた昨年の高騰は記憶に新しいですが、本当に投資する価値のあるものなのかと機関投資家は静観している状態でした。
一方で政府機関の対応もどんどんと求められてきています。
米国では仮想通貨の証券化に向けた動きが起こっており、8月にもその結果が出るのではないかと注目されています。
もしも米国で仮想通貨の扱いが証券と同じように認められるとなれば更に仮想通貨は規模の大きな市場になるとの見方がされています。
機関投資家は洗練された金融機関を求めるため、政府などの公的な機関がブロックチェーンや仮想通貨関連の分野に関して規制に取り組むことの重要性についてもノボグラッツ氏は触れています。
普及に必要なものとは何か
「ユーザーの体験がなければ、一般普及することはないだろう。」
ノボグラッツ氏はブロックチェーン技術の広い普及のために必要なのは一般のユーザーによる体験だと強く主張しています。
また同氏はテクノロジーについて細かく理解する必要はないといいます。
それもそのはずで、身近に技術を感じることで普及のスピードが大きく変わることはこれまでの様々なテクノロジーでも我々は感じてきているところです。
テレビのリモコンがどうやって機能しているのかとか、インターネットで作った音楽が全く同じものとして世界の裏側に瞬時に届くことに利便性は感じても仕組みを細かく理解しようと思ったことはありません。
同氏はそのように技術の浸透について体験することの重要性を訴えました。また、ユーザー体験をする機会が設けられることで普及されていくポテンシャルが仮想通貨にはあるという想いが強く感じられます。
仮想通貨の現状
ノボグラッツ氏は多くの機関投資家が仮想通貨に対し、興味の目を向けていることを知った上で、現状、ほとんどは個人投資家のうえで仮想通貨は成り立っていると述べました。
そのため、規制する機関は個人投資家たちに焦点に当てていくべきだとの考えを示しました。
さらにノボグラッツ氏は
「機関投資家がどのように仕事をするのかを考えてみましょう。上司に対し『私にはあなたが聞いたこともない場所に資金がある』と言っても信じてもらうことは難しいです。彼らは安心でき、信用できる、よく知られている日本の銀行やHSBC、ICE(インターコンチネンタル取引所)、GS(ゴールドマン・サックス)のようなものを求めているのです」と述べました。
現状の個人投資家がメインの市場へ配慮した規制を行っていくことと、機関投資家が参入していくためのより信頼や安心のできる市場を形成していく必要性を訴えているのでしょう。
まとめ
ウォール街で重役を勤め、現在でも仮想通貨投資会社のCEOとして活躍するマイク・ノボグラッツ氏は仮想通貨やブロックチェーンの普及に対し5、6年はかかるとの見通しを発表しました。
しかしその一方で、機関投資家の参入は2、3年で行われるだろうと予想しており、新たなデジタル技術に対して高い評価を示していることが伝わってきます。
日本国内でもビックカメラをはじめとする一部店舗にてビットコイン決済が出来るようになっていますが、あまりにも価格変動が大きいために導入を見合わせている企業も多く存在するといわれています。
一方、クレジットカードのように特別な専用の機械を必要とせず、導入に対しコストは圧倒的に安く済むため、事業者側にとってもメリットがあります。さらには個人商店などの小さな店舗でも取り入れやすいサービスのため普及がされていく可能性が期待されています。
様々な市場を取り巻く参加者が静観したり、参入を表明したりとしていますが、これほど長く世界全体が注目している技術はなかなかないでしょう。
今後の発展はどのようにして起こっていくのか、各業界が注目をしています。あっという間にブロックチェーンが当たり前の技術として浸透するかもしれません。
我々もブロックチェーン技術の普及に大きな期待を持ちながら今後の業界の動きについて注目していきましょう。