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全国初!放置違反金滞納で仮想通貨差し押さえ

仮想通貨はブロックチェーン技術を使用した通貨です。ブロックチェーン技術の安全性の高さから非常に安全な通貨としても注目を集めています。技術面の安全のみならず、従来の法定通貨やその他の証券・不動産等の財産と異なり「財産」の定義に当てはまらないことから、差し押さえを受けないという点も魅力の一つでした。しかし、改正資金決済法の施工により仮想通貨は財産として取り扱われることとなり。ついにこのたび、初の差し押さえ対象となったのです。一連の事件の概要および、この事件が今後の仮想通貨にどのような変化をもたらし得るのか考察していきましょう。

放置違反金滞納で仮想通貨が差し押さえられる

兵庫県警が、10日付けで駐車違反金の滞納を繰り返していた兵庫県内在住の男性(59)から仮想通貨計約3,800円相当を差し押さえていたことが12日に判明しました。駐車違反に関連して仮想通貨を差し押さえるのは全国で初めてです。兵庫県警交通指導課によると、昨年2017年4月に改正資金決済法が施行されて仮想通貨が法律上財産として認められたことを踏まえて、財産として差し押さえ可能であると判断したとのこと。

男性は2014年1月から16年7月までの間に駐車違反を4回繰り返すなどして計99,700円を滞納していました。今回差し押さえられたのは業者に預けていたビットコインなど2種類のコインで、10日付のレートで約3,800円相当だったとのことです。通常であれば、給与や銀行口座などが差し押さえの対象となりますが、男性には預貯金がなく勤務先も不明だったため仮想通貨が差し押さえられました。差し押さえ債権の履行期限となる7月下旬までに納付しなければその時点のレートで業者が現金化し、県警に支払われるとのことです。もし滞納額を上回った場合は差額が男性に返金される予定です。

日本の法律上の仮想通貨の取り扱い

2017年4月までは、日本の法律上、仮想通貨は差し押さえの対象外でした。そもそも差し押さえとは、契約にもとづいた支払いなどがなされない場合に債権者が債務者の財産から取り立てを行うことを言います。法的には「強制執行」という手続きの1種です。たとえば、お金の貸し借りにおいて債務者が定められた支払いをしない場合に債権者が債務者の財産を差し押さえることができます。この「差し押さえ」の対象になるものは、債務者が所有しているすべての財産や債務者名義の債権です。具体的に言うと現金や債務者名義の預貯金、生命保険、車や不動産、株式などです。

上記のように差押えの対象になるのが債務者が有する財産の全てなのであれば、債務者が持っている仮想通貨は差し押さえの対象になるように感じられます。しかし、2017年4月以前の法律では対象外となっていました。一体なぜなのでしょうか。

ブロックチェーンの仕組み

ビットコインの保有は、保有の状況がブロックチェーンに記録されることで成立しています。ブロックチェーンは中央集権的に特定の誰かが管理しているものではなく、ネット上に存在し世界中のコンピュータから照会することができるものです。仮想通貨取引が行われるとその取引内用がブロックチェーン上に記録され、新しい取引が行われる毎にその記録はどんどん更新されていきます。このように、仮想通貨を「保有している」というのは「ブロックチェーンに保有の記録が刻み込まれている」状態に過ぎないのです。

従って、仮想通貨の差押えをするためにはブロックチェーンに新たな保有情報を書き込む必要があります。一方で、現在の技術ではブロックチェーン上に「差し押さえ」の情報を書き込むことはできないのです。

一般的に、物に対して差し押さえを行う場合には、物理的にその物の占有を奪い執行官が管理させることで差し押さえが成立します。しかし、仮想通貨の場合、執行官はブロックチェーンを物理的に管理することができません。従って、従来とっていたような者に対する差し押さえの方法を使うことはできません。さらに、預貯金のような「債権」であれば、銀行に対する預貯金の払い戻し請求権という債権を差し押さえることができます。これに対し、ビットコインの保有は、単なる「ブロックチェーンに書き込まれたデータ」にすぎず誰に対する「債権」でもないので、この方法での差し押さえも不可能なのです。

以上のような理由から、当時の法律によっては仮想通貨の差し押さえは不可とされていました。

ビットコインへの所有権は認められていなかった

また、2017年4月より前の時点で、仮想通貨に対する「所有権」というものは日本の法律上認められていませんでした。所有権とは「物に対する排他的な支配権」と定義されます。所有権が成立するためには以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 対象が有体物
  • 排他的な支配ができる

この点については、裁判所による判例もあるので紹介します。かつてMTGOX社という仮想通貨の取引業者が破綻したときに、債権者が所有権にもとづいて仮想通貨の返還を求めた事件がありました。その時、裁判所は以下のような判決を下しました(東京地裁平成27年8月5日)。

まず、仮想通貨は有体物ではないと判断しています。仮想通貨はデジタル通貨や暗号学的通貨ですし、ビットコイン取引所の利用規約でも、ビットコインは「インターネット上のコモディティ(商品)」であるとされています。また、仮想通貨の仕組みや技術はインターネットのネットワークを利用して成り立っています。このように、ビットコインは「ネット上のデータ」であり物理的な形を持った有体物とは言えません。

また、仮想通貨に対する排他的な支配も成立しないと判断しています。理由の1つとして、ブロックチェーンによるデータはネット上で公開されているものであり誰でもアクセス可能であることが挙げられます。つまりブロックチェーンデータは、多数の人が保有しているものと言えます。もう一つの理由としては、仮想通貨を送金するときには送金する当事者だけではなく、ブロックチェーンデータを書き換えるマイナーなどの他者の関与が不可欠です。従って、送金者だけが排他的に管理しているものとは言えないのです。

この裁判では、原告による「所有権にもとづくビットコインの返還請求権」を否定し、所有権にもとづくビットコインの返還請求は棄却されたのです。

2017年4月改正資金法

状況が変わったのが2017年4月1日。改正資金法が施行され、仮想通貨は日本の法律上で「財産として認められる」と明記されるようになったのです。仮想通貨交換業者の登録等についても定められ、日本における仮想通貨関連法整備は大きな1歩を踏み出しました。

財産として認められるようになったことで、差し押さえの対象となった仮想通貨。しかし一方で、ブロックチェーンに対する差し押さえの技術的な制約という問題は残っていました。今回の件で差し押さえられたのは男性が仮想通貨交換業者に預けていた仮想通貨です。これはブロックチェーンの所有情報を更新することで保有を記録するのではなく、取引所内の記録でオフチェーンの管理が行われているものです。従って、ブロックチェーンに差し押さえの情報を書き込まずとも預金のような「債権」としての差し押さえが可能だったのです。

仮想通貨に対する差し押さえの例が発生した今、オフチェーンで管理される通貨のみならずブロックチェーン上で記録された通貨について今後どのように取り扱われていくのかウオッチして行きたいところです。

まとめ:仮想通貨の差し押さえは法律が整備された結果だった

新興の技術である仮想通貨。初期にはなかなか法整備も進んでいませんでしたが、徐々に進展してきたため利用者にとっても安心して取引を行える環境が整ってきています。一方で、仮想通貨が正式に財産として認められたことから行政による差し押さえの対象になったりと様々な変化もおこっています。仮想通貨に投資をする際はこういった法の整備状況についてもウオッチしていくと良いのではないでしょうか。