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マイニング悪用によって有罪判決が下される
仮想通貨を得る手段であるマイニングを悪用し、他人のパソコンを無断で使用し収益を得たとして、2日仙台地裁で行なわれた判決公判で有罪判決が下されました。
判決は不正指令電磁的記録作成・同供用の罪として兵庫県尼崎市に住む無職、安田成利被告(24)に加藤亮裁判官は懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
加藤亮裁判官は「プログラミング知識・技術を悪用した巧妙な犯行で、社会的な影響は軽視できない」と指摘。一方で「情報倫理を学習するなどして反省している」と執行猶予の理由を述べたと毎日新聞は報じています。
判決によると安田被告は1~2月頃に、オンラインゲームで優位になるツールとして、マイニングプログラムであるCoinhiveを仕込んだ2種類のファイルを作成しました。一つは米国のサーバーにアップロードし一つは自身の運営するブログに組み込み、利用者がサイトを閲覧しパソコンにダウンロードをさせたことで無断でマイニングを行なわせたとしています。
悪用されたマイニングサービスCoinhiveとは
Coinhiveは自身が運営するサイトに、閲覧者を利用して仮想通貨をマイニングさせることでその収益を受け取ることができるサービスです。Coinhiveが提供するコードを自身のサイトに組み込むことで、そのサイトを閲覧した人のコンピュータのCPUを無断で使用して仮想通貨を採掘するサービスとなっています。
仮想通貨はMoneroを採掘し、収益の7割がコードを組み込んだサイト運営者に分配され、残りの3割がCoinhiveの手数料として分配されることとなっています。
安田被告は1月12日にプログラムをダウンロードした仙台市内の男性以外でも、全部で約90回ダウンロードさせて、日本円で換算すれば5000円程度の報酬を仮想通貨で受け取ったとしています。
Coinhiveは、邪魔であったり非効率なデジタル広告を表示させずにサイト運営者は直接的に収益を得ることができるとして注目されています。しかしユーザーに対して無断でCPUを使っていることがマルウェアではないかとして批判する声も大きいです。なかには仮想通貨のマイニングプログラムに犯罪者や不正者に協力するようなプログラムが組み込まれている場合もあります。
事件のポイントとなったのは不正電磁的記録作成・同供用罪
では安田被告に言い渡された不正電磁的記録作成供用罪とはどういった罪なのかみていきます。
不正電磁的記録作成というのは、
- 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
- 上記に掲げるもののほか、上記の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
そして供用罪とは、
- 正当な目的がないのに、コンピュータ・ウイルスを、その使用者の意図とは無関係に勝手に実行される状態にした場合や、その状態にしようとした行為をいいます。
- 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。
参考 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/cyber/law/virus.html
ということです。今回のポイントは無断でマイニングを行なったことが上記の罪に問われてしまったということでしょう。
そして、現在では安田被告を含む16人を不正指令電磁記録供用容疑などで書類送検されており、そのうちの3人がマイニングを悪用したとして逮捕されています。
Coinhiveは違法なのか?
今回の争点となっているのはやはり無断でマイニングが行なわれたというところでしょう。
警察庁のTwitterではマイニングツールの設置を閲覧者に明示せずに設置した場合、犯罪になる可能性があるという見解を示しています。
マイニングツールの設置を閲覧者に明示せずに設置した場合、犯罪になる可能性があります。また、マイニングツールが設置されたウェブサイトにアクセスすると、パソコンの動作が遅くなることがあります。ご注意ください。https://t.co/GLl7GSzKqo
— 警察庁 (@NPA_KOHO) June 14, 2018
しかし仮想通貨界隈では、明示せずにマイニングツールを使用することはデジタル広告にも同じことが当てはまっているのではないかとして論争が起こっています。
Coinhiveのユーザー側ではデジタル広告もサイトの閲覧者に許可を取っているわけではないと主張しています。
また最近スマホの広告ではスクロールすると広告も一緒に動いてわざとらしく踏ませてくる広告をみたことがありますよね。この広告の仕様は供用罪の使用者の意図とは無関係に実行しようとした状態に当てはまるのではないかと考えられています。
こういったことが前々からあるにも関わらず今回Coinhiveの使用によって有罪判決になったことは疑問に感じておりもっと深く考える必要があるでしょう。
今回のCoinhiveの捜査で家宅捜索を受けた方の記事がありますので見てみてください。そのときの状況などが良く分かります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。現段階では警察庁もマイニングツールの設置を閲覧者に明示せずに設置した場合犯罪になる可能性があるのでCoinhiveなどのマイニングツールの使用は控えておくべきでしょう。パソコンの動作が重くなったり、余計な電気代を消費してしまうこともあります。今後Coinhiveの動向には注意しておきたいと思います。