今月22日に、破産手続き中であったマウントゴックスが東京地裁による民事再生手続の開始決定をされたことで民事再生手続が開始されることになりました。これによってマウントゴックスが進めてきた破産手続きは中止されたことになります。
2017年11月24日に一部の債権者が、東京地裁に対しマウントゴックスについて民事再生手続開始の申し立てを行ないこれが認められたようです。
マウントゴックスの破産手続きが中止されたことで、マウントゴックスによるビットコインの売り材料がなくなるのではないかとしています。
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仮想通貨市場では安心感が広がっている
マウントゴックスは現時点でビットコインを約20万BTC保有しているとみられています。もしこの約20万BTCが現金化されれば大量にビットコインが売られたことになり、ビットコインの価格は急落するのではと危惧されていました。
今回、民事再生手続が開始されたことは破産管財人がビットコインをこれ以上売れなくすることを意味しており、マウントゴックスが保有しているビットコインは現金化されることもなくなりました。
これまでに一部のビットコインとビットコインキャッシュを売却している
今年3月7日に、約450億円分にもなるビットコイン(約3万6000BTC)およびビットコインキャッシュ(約3万4000BCH)を売却したことをマウントゴックスの破産管財人である小林信明弁護士が公表しています。売却された期間は第9回債権者集会があった2017年9月27日から、第10回債権者集会があった2018年3月7日までの間とみられています。
仮想通貨市場では、マウントゴックスによって大量のビットコインが売られるとしてビットコインの価格は100万円近辺から80万円あたりまで急落、市場は混乱をみせました。しかし、報告書によると「可能な限り取引のセキュリティを確保しつつ、取引所における通常の売却ではなく、市場価格に影響を与えない工夫をして、ビットコイン及びビットコインキャッシュを売却した」としており、自分たちによる影響はないと主張しています。
3月7日に東京地裁に提出された報告書
債権者としてはうれしい知らせとなった
マウントゴックスが進めてきた破産手続きでは、破綻時のビットコインのレートで換算、現金化してから債権者に分配することとなっていました。しかし、これでは最近のビットコインの値上がり分が加味されず、余った金額はマウントゴックスのものとなってしまいます。民事再生手続きであれば、ビットコインのまま顧客の保有割合によって分配することが可能になります。よって債権者にもビットコインの値上がり分を享受することができます。
4年前にマウントゴックスが破綻時のビットコインの価格は約5万円で、現時点では約65万円とすると当時の価格から13倍にもなっています。マウントゴックスが保有している20万BTCの返済額をそれぞれ計算すると、4年前では100億円だったのに対し、現在では1300億円にもなります。
仮想通貨による返還は確定していない
再生管財人に選任された小林信明弁護士が出した文書によると、「本件民事再生手続における弁済の方法や時期等については、本件民事再生手続の中で成立する再生計画において決定されることになります。したがって、現時点では具体的な回答を行うことができない」としており、債権者に仮想通貨の返還がされるかはまだ確定していないとしています。
また今後ビットコインおよびビットコインから分裂したビットコインキャッシュを売却する予定はあるかの問いに対しては、売却に関しては現時点では決定している事実はないと記載しています。
再生管財人の小林信明弁護士が出した文書
マウントゴックス民事再生手続開始のまとめ
- マウントゴックスが進めていた破産手続きは中止された
- 民事再生手続きによって債権者にはビットコインのまま保有割合に応じて分配されることとなる
- 債権者には当時のレートから13倍もの値上がり分を享受できる
- 仮想通貨市場ではマウントゴックスの売り材料がなくなり安心感が広がっている
マウントゴックスとは
2009年にトレーディングカードの交換事業を行なっていましたが、2010年に仮想通貨取引所として事業転換しています。
マウントゴックスは、2013年4月に世界のビットコイン取引量の70%以上を占めており、当時では世界最大規模の仮想通貨取引所として注目されていました。
2014年2月7日までに不正アクセスによって何者かに85万BTCが盗まれる。
2014年2月24日に東京地裁による破産申請の手続が開始され、債権の総額は2兆6330億円になったとされています。
現在に至ってまだ債権者に対して返還は行なわれていません。