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仮想通貨に対しての主要国の規制当局の動き

仮想通貨という概念が作り出されたのが2008年、そして2009年には早くも現実化して最初の取引が始まりました。それから10年が経ち4000億ドル(約44兆円)の時価総額となり、世界中の金融・経済・個人の生活にも影響を及ぼし始めています。

2017年前半までは、特定の人々のゲーム感覚ともいえる金融とITとゲームの相交わった世界で拡大・増殖をしてきました。2017年半ばから参入者の急膨張、通貨単位の暴騰が起き、巨額の富を得た人・企業が生まれ、そして空前の金額の盗難流出が発生したわけです。

中国を始めとして仮想通貨を規制する動きは、昨年後半から始まっています。とりわけ史上最大の盗難事件の舞台となった日本では規制当局の存在の要が問われています。この稿では世界の主要な国での仮想通貨の規制の状況と、日本ではどのような規制が行われつつあるのか整理をしました。

 仮想通貨に対する各国の姿勢

アメリカ

 

アメリカは仮想通貨発祥の地であり、主要な仮想通貨の今日の成長の土壌になった国と位置付けて間違いはありません。2009年1万BTCで25ドルのピザを買って取引がスタート後、紆余曲折を経ながら拡大に次ぐ拡大を遂げてきたアメリカでの仮想通貨を巡っては、様々な動きがあります。

ICOを巡るSECの動き

米証券取引委員会(SEC)は、ICOは証券界の規制の枠組みの中で行われるべきとの立場を明確にしつつあります。仮想通貨はその評価が確定しているかどうかは別にして、財・サービスの交換・保管手段と見做されるものです。一方ICOによって生み出されるトークンは、仮想通貨ですが、ICOは資金調達・金融の問題であるだけに証券業界から異論がでるのは当然といえます。

ICOで相当のロス(真偽の程は別にして数百億円、数十億円、数億円の詐欺的ICO)が出ているにもかかわらず、あまり問題が大きくならないのは何故でしょうか。ICOへの参加者・申込者の原資がビットコインを始めとする仮想通貨であるからと思われます。もし自己資産であるUSドルや円資産から直接ICOに資金が流入したのであれば、騒ぎはとてつもなく大きくなるのではないでしょうか。

言い換えると現在の仮想通貨の時価総額の40兆云々は、勿論実物マネーが投入された部分もありますが、大半は膨らんだ風船のように考えられます。直径10cmの100個の弾力性の強い風船が直径1mに膨らみ、さらに10mに膨らむ一方、100個から1,000個に分裂し、さらに10,000個に分裂を続けている状態と言えるでしょう。

保有者は巨額の資産を手にしたわけですので、少々の暴落での持ち分の減少はICOでの損にもそれ程の危機感はないというのが現在の状況と考えられます。

ICOに投入される資金は、原則すでに流通している仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、XRPなど)での払込みです。ですからICOが成功しトークンが値上がりすれば投資は成功になります。
一方、詐欺的なICOに仮想通貨を投入して損を抱えた場合も、許容の範囲と言える現象が起きていると想定されます。

ICOがある意味でプロの世界(仮想通貨で一次的に稼いだ人々)の中で収まっている限り、問題はあまり拡散しないのですが、仮想通貨ブームが一般の投資家(アマチュア)を巻き込むと状況が大きく変わります。

アメリカで起きているのは、ICOを証券の世界の規制の枠内に留めようとする動きです。ICOはIPOとは手間も時間も全く異なる方法で資金調達とその見返りに出した仮想通貨(トークン)を流通させようとする試みです。仮想通貨が通貨としての地位を確立できるのか、一握りの人たちの夢と次世代を先取りした未完成品で終わるのかは、注視すべきことと言えます。

アリゾナ州での納税手段としての仮想通貨

2018年2月にアリゾナ州で仮想通貨を納税手段として認めるための法案が出され、州上院ではこれを認める議決が為され、大きな話題となっていました。5月2日州下院はこの議案を修正して議決しましたが、その内容は仮想通貨での納税の可否をさらに検討するという一歩後退した内容になりました。

アメリカでは他にワイオミング州、ジョージア州、イリノイ州で仮想通貨での納税について法案が検討されています。仮想通貨の公的な認知は影響の大きな事柄で、さらなる注視が必要です。

ウォーレン・バフェットの発言

従来からウォ—レン・バフェット氏が仮想通貨に対して否定的な発言を繰り返していることは広く知られています。5月5日自身の運営するバークシャー・ハサウェイの株主総会で改めて「仮想通貨は悪い結末になるだろう」と発言をしたと伝えられています。

4月以降回復基調であった仮想通貨相場の反落要因のひとつがこのウォーレン・バフェット氏の発言と言われています。一時期彼がリップルを買うとか、買うならリップルだとの噂が流れ、仮想通貨市場全体を落ち着かせる材料のひとつと考えられましたが、元に戻ったと言えるでしょう。

一方で若手の経営者層(TwitterのCEOであるジャック・ドーシー氏、Paypalの共同設立者ピーター・ティエル氏、技術ベンチャーキャピタリストのティム・ドレイパー氏など)は仮想通貨の将来に期待を変えておりません。

アメリカで話題となっている3つの事柄でしたが、議会でどのように取り上げられるかは未だはっきりせず、テロ資金への悪用を懸念する意見が目立つ程度です。

中国

中国は元々仮想通貨大国であり、ピークでは全世界の50%が中国国内の取引所経由と言われていました。またビットコイン等のマイニングでも中国勢が大きな勢力であったのは、周知のところです。ところが昨年9月の中国国内での人民元による仮想通貨の取引とICOが禁止されました。禁止の理由は

  1. 人民元不信=仮想通貨・ドルへ元の流出防止
  2. ICOによる一般人の損失多発
  3. 政府管理の仮想通貨発行の思惑などが挙げられています。

禁止から約半年を経過して、年初来取引所再開のうわさが出ていましたが、5月11日に中国政府は主要仮想通貨28種の格付けを近日発表するとの報道がありました。これは明らかに新しい動きとして注目をする必要があります。

ブロックチェーン技術を使った政府管掌のブロックチェーンスタンダードとも呼ばれるしくみへの動きなのか、あるいはICOを含めた仮想通貨をコントロールする制度の模索なのか、仮想通貨再開の動きが感じられるニュースです。

ヨーロッパ

ヨーロッパにおける仮想通貨に対する受け止めは、落ち着いた、クールな反応です。今日の通貨や金融の先進地域としての経験に基づくものなのか、また仮想通貨のしくみを理解するが故なのか、過度にのめり込んで期待する層もそれ程多くないようです。

そんな中で、EUは今年になって2つのことを決めています。

 4月20日にEU議会が仮想通貨の取引所を登録制にすることを議決しました。理由はマネーロンダリングとテロ資金供与の防止のためとされていますが、極めてヨーロッパらしい理由と措置です。

一方で欧州委員会22か国はブロックチェーンの発展を促すパートナーシップを締結したと発表しています。規制と共に次世代のための通貨構想の有り方を検討するのは、多国間での通貨の問題で長年苦労を重ね、ユーロにたどり着いた国々ならではの発想といえます。

ちょっと別次元の話題としては、オランダでは裁判所がビットコインは正当な通貨と認めると文書を出しているとの情報があります(Cointelegraph)。一方イタリアでは211億円相当の流出盗難事件があり、冷静な地域と騒がしいケースも存在するヨーロッパらしいところと言えるでしょう。

 日本の規制当局の動き

2017年以前

日本にける仮想通貨の幕開けは2014年に発生したマウントゴックスの115億円のビットコイン盗難紛失という衝撃的な事件からです。それ以前には仮想通貨という言葉は殆ど一般的でなく、極く一部の人のみが知る世界であり、法的な規制はありませんでした。

しかし事件の金額の大きさから仮想通貨・ビットコインとは、危険なマネーゲームのツールで一般人が手を出すようなものではないが、何か新しいことが起き始めているという認識を多くの人が持った筈です。

2015年、2016年、存在意義が疑われた仮想通貨・ビットコインの価格は上昇の一途を歩み始め、一方でブロックチェーンの仕組みの先進性が評価されてきました。同時にマウントゴックス事件の本質はビットコインの問題ではなく、仮想通貨の交換業者の事件であることが広く認知されてきました。

それに伴って国内で仮想通貨の交換所業者が雨後のタケノコ状態で開業を始め、IT情報・スキルに長けた若年層*(20代~30代)を中心に実物マネーで仮想通貨を買う動きが一気に起きてきました。この新たな参入者の特徴は自己資金の相当の比率(50%~70%程度)を仮想通貨に投入する思い切りの良さです。家計の慎重なやりくりの中から堅実運用を考える40~60代の投資家とは別人種です。

*20代~30代の顧客層は全体の取引参加者の63.0%となっています。(日本仮想通貨交換業協会)

2017年、仮想通貨の幅広い浸透の動きに対して、日本の仮想通貨の監督官庁である金融庁は仮想通貨を認め、改正資金決済法を施行します。元の資金決済法とは2010年にIT時代に適合するため、銀行間や企業と金融機関の資金決済の情報通信技術についての取り決めでした。改正資金決済法は、

  1. 仮想通貨の交換業者の登録制
  2. 交換業者が利用者に適切な情報提供
  3. 利用者財産の分別管理
  4. 取引開始時の本人確認の実施が要点です。その意図するところはマネーロンダリングの防止、新規利用者の保護です。

この改正資金決済法を各交換事業者がどの程度遵守できているかを確認する前、2017年後半に仮想通貨バブルが世界的に発生しました。このブームは仮想通貨の一種であるトークンをICOで市場に登場させるという副次的な動きも巻き込んで、仮想通貨単価の数倍、数十倍高騰という異常現象を起こしたのは周知の通りです。

仮想通貨は規制当局(金融庁)や事業者が想定するはるかに速いスピードと規模で世の中に普及したと言えます。コインチェックの盗難事件以降の仮想通貨の反動下落も大変大きかったのですが、株式市場の暴落との違いは、実損を出した個人や企業が少ない点ではないでしょうか。少なくとも社会問題となるような話題はありません。

それは、暴落した中身は、実は暴騰で想定外の含み利益を稼いだ人たちの余裕の範囲内であったからです。現にコインチェックも580億の流失分を自前で補填をしていることから見ても、交換事業者も保有者もいかに巨額の額面上の利益を蓄積していたかがうかがえます。

2018年の規制当局の動き

仮想通貨交換業者16社の登録確認と8社に対する行政処分
金融庁は2017年12月末にて改正資金決済法に合致する16社を登録していましたが、2018年4月27日で改めてこの16社を公表しました。

一方で、みなし登録業者として曖昧にしていた16社のうち、10社を行政処分(業務改善命令)し、みなし登録業者から外しています。

この8社以外にみなし登録業者となっていたその他8社は登録申請を取り下げています。

登録された16社以外に10社が今年度登録申請を提出の予定であり、その中にはコインチェックを傘下に収めたマネックスグループ、IT大手のYahoo、Line、サイバーエージェントグループなどが名を連ねています。

ICOに対する規制

一方ICOの場合は、プロジェクトの魅力を訴求できれば、手続き的にはプラットフォームとなる仮想通貨との調整がつけば極めて簡単に発行できるという利点があります。それだけに、今日の無規制状態を早く解消することに規制当局は力を注いでいます。

登録16交換事業者をメンバーとして、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会を発足させて、業界の自主規制とICOの規制の方向を検討するのが狙いでしょう。

 直近の動き

規制当局は大きな反省材料となったみなし登録業者の問題にひと区切りをつけて、今年度の新しい方針に基づき進み始めました。

育成路線から規制路線へ

金融庁は2014年から2017年は、仮想通貨を認めつつ一般個人利用者の保護の観点から健全育成の路線を進めてきましたが、コインチェック事件の規模の大きさから規制路線に大きく変換したと言えます。580億円という巨額な資金が不法なサイドの手に渡ることは国の内外を問わず、放置しておけない事柄です。

今回明らかになった仮想通貨交換業の新たな登録審査方針は次の通りです。(5月6日 日経新聞)

システム管理      複数の秘密鍵(暗号)あるか、ネットに接続せず保管しているか
マネーロンダリング対策 高額取引時の本人確認などリスクを減らす措置をとっているか
分別管理        時間ごとの残高照会、役職員の流用防止措置をとっているか
仮想通貨の種類     仮想通貨の匿名性、取り扱う際の審査基準を設けているか
内部管理       株主と経営の分離、システムの開発と管理の担当を分離しているか

2017年4月の改正資金取引法施行時の仮想通貨交換事業者登録の4項目に比してはるかに厳しく、実務的と言えます。

ICO規制について

金融庁はICOについて、アメリカを始めとする海外での規制を意識していますが、未だ方針を打ち出せていません。海外の各国がICOを証券の範囲で捉える傾向が強いのに対して、日本(金融庁)は仮想通貨を是認した(法律で定義している国はない)流れで、証券とは別の範疇(仮想通貨)に位置付けて来ました。日本では引き続きICOは可能と思わせた感があります。

4月10日に日本仮想通貨交換業協会との研究会を立ち上げたのは、ICOートークンについて金融庁が実態把握をして、今後の規制の方向を検討するねらいと思われます。それにしてもこの研究会の資料は仮想通貨の直近の実態を知るためには良い資料です。(https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-2.pdf)

このような動きですから、ICOについての規制の具体化はもう少し時間を要しそうです。

まとめ

以上仮想通貨に対しての主要国の規制当局の動きを整理してみました。各国共に仮想通貨やICOについては規制をする必要性を認識する一方で、ブロックチェーンのテクノロジーは多方面で活用したいという方向は、共通しています。キャッシュレス店舗の急速な広まりや国中がキャッシュレスになってしまっているスウェーデンの例があるように、仮想通貨やデジタル通貨の世界は一瞬も眼を離せないようです。