本日ご紹介する仮想通貨は、時価総額ランキング21位、「Bytecoin」です。ビットコインと名前は少し似ていますが、全くの別物です。
仮想通貨はそれぞれ特徴を持ち、様々な利点がありますが、Bytecoinは「Zcash」や「Monero」と同様に、匿名性に力を入れた通貨のようです。一言で「匿名性」、と言われても、ピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、Bytecoinについて、細部まで徹底的に解説いたします。概要、特徴、将来性など、様々な観点から考察していきたいと思います。
概要
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Bytecoin(BCN) |
通貨名 |
Bytecoin |
通貨表記 |
BCN |
通貨価格 |
1BCN/約0.7円 |
総発行枚数 |
184,470,000,000BCN |
現在供給枚数 |
183,890,481,254BCN |
時価総額 |
約131,000,000,000円 |
リリース |
2012年7月20日 |
主な取扱取引所 |
Binance、Poloniex、Bittrex、HitBTC、Cryptopiaなど |
取引認証システム |
Proof of Work(CryptoNight) |
Bytecoinは、BCNという略号の仮想通貨です。2012年7月20日に公開されました。ビットコインが公開されたのが2009年であり、またイーサリアムが公開されたのが2014年であることを考えると、仮想通貨の歴史では古参の部類に入る通貨です。
また総発行枚数は、184,470,000,000BCNとなっており、ビットコインの総発行枚数21,000,000BTCと比べると、非常に大きな規模です。
Bytecoinは、匿名性を強みとしたオープンソースの分散型仮想通貨であり、誰であってもBytecoinのネットワークへの参加が可能で、通貨の開発に参加できます。Bytecoinは、「CryptoNight」という「Proof of Work」を基にした、アルゴリズムを使用することで、高い匿名性を最初に実現している通貨です。「Monero」などの匿名性が高い仮想通貨の基となっています。
特徴
高い匿名性
Bytecoinにとって、匿名性の高さは最大のウリです。Bytecoinでは、CryptoNightというアルゴリズムを使用することで、高い匿名性を発揮することが出来ています。
仮想通貨は、個人に与えられるカギを使うことによって、取引の安全性を保障しています。しかし個人の持つカギを使用した取引の情報は、公開情報となっており、個人情報は読み取れないまでも、取引の追跡は可能となっています。このことは、それまで常に問題視されておりました。この問題を解決するアルゴリズムがCryptoNightなのです。CryptoNightでは、「リング署名」という技術が使用されています。これは個人の持つ複数のカギをリング状に繋いでカギの束を作ることで、各取引とカギの関連性を不明確にする技術です。個人の持つカギは複数のリングに所属するため、取引記録の傾向からカギを予測することも困難となり、高い匿名性を実現するのです。
またCryptoNightでは、「ワンタイムキー」を生成することも可能です。送信者のアドレスと、受信者の持つカギを元にワンタイムキーは作られ、ワンタイムキーの全ての内容を確認し、取引内容を見ることができるのは、受信者のみの権利となっています。
つまり取引に関連する人物、取引の内容などが公開されることなく、取引を完了することができるのです。
ブロック生成スピードの速さ
Bytecoinのもう一つの特徴として挙げられるのが、ブロック生成スピードの速さです。様々な取引の情報や、発行者などのデータを含むデータの塊がブロックです。そのブロックの生成にかかる時間は、各仮想通貨によって異なり、各通貨によって決められています。例えば、最も有名な仮想通貨「ビットコイン」のブロック生成スピードは、10分間と決まっています。つまりビットコインの場合は、この10分間は取引が完了することはなく、ユーザーは待たなければなりません。またビットコインではこの仕組みについて、別の問題も挙がっています。この10分間で行われる取引の量が、1つのブロックのキャパシティを超えてしまっていることです。溢れてしまった取引の情報は、次のブロックに含まれることになるのですが、取引量が多すぎてしまい、次のブロックでも処理が追い付いていません。そのため、早い送金時間や、安い手数料が魅力的なはずの仮想通貨の取引が、早い送金時間を得るために、追加で手数料を支払わなければならなくなっていました。これを解決するためには、ブロックのサイズを大きくするか、ブロック生成スピードを速くするかの二択しかありません。ビットコインでは、これを巡ってハードフォークに至りました。
しかしBytecoinではブロック生成スピードを速く設定することでこの問題を解決しております。ビットコインが10分かかっていたことに対し、Bytecoinではわずか2分、なんとビットコインの5分の1の時間で、ブロックの生成を完了することができます。ビットコインと比べると、より過密な取引に対応することができ、Bytecoinにとってウリの一つとなっています。
簡易的なマイニング
マイニングと聞くと、一般の人からすれば、少し参加への敷居が高いように感じるかもしれません。しかしBytecoinで使われるアルゴリズム、CryptoNightのマイニングでは、GPUマイニングに利点をもたらさないため、一般的な家庭用のパソコンからでも、十分参加が可能です。ASICデバイスの購入は必要なく、「Minergate」などのサイトから簡単にマイニングすることが可能です。またこのMinergateでは、Moneroなどの他の仮想通貨のマイニングをすることも可能です。マイニング報酬は120秒毎に、マイナー全体へ約65,000BCNが配布されます。
Bytecoinでは、マイニングを通じ、Bytecoinのネットワークセキュリティの強化をすることが可能です。マイナーたちの活動により、取引は正常に処理され、取引や個人のデータの暗号保護の提供が保証されているのです。またBytecoinでは送信者、及び受信者の情報は守られており、取引の情報も公開されないため、マイナーはユーザーの財務情報へアクセスすることはできません。
メリットとデメリット
メリット
Bytecoinのメリットは、先ほど説明した、「匿名性の高さ」「ブロック生成スピードの速さ」「簡易的なマイニング」、以上の3点であると考えています。しかし、マイニングについてだけ補足させていただきたいと思います。マイニングの難易度は確かに低く設定されているのですが、現在既に総発行枚数のうちのほとんどがマイニング済みとなっているため、報酬が安価に設定されています。そのため、敢えてマイニングを行うことへのメリットは低いかもしれません。
デメリット
Bytecoinのデメリットについては、ここに来て初めてお話しする内容となります。それは一番のメリットである匿名性の高さが、代替可能な通貨が多数増えたことで、価値が薄まってしまったことです。Monero、DASHなど、有名な匿名性の高さを強みとする通貨を始め、イーサリアムでもZcashの実装により高い匿名性を実現しています。そのため、Bytecoinの市場価値が今後上がっていくかどうか、という懸念点があります。
また国際的な問題として、匿名性の高い通貨はマネーロンダリングへの使用も危惧されており、世界各国における仮想通貨への規制が加速している一因となっています。最近だと、「coin check」のNEM流出事件が大きな話題となりましたが、この事件にはDASHが利用されている可能性もあるそうです。このことで匿名性の高い通貨のみでなく、仮想通貨全体に関するリスクが表面化され、将来的に匿名性の高さをウリとする通貨は淘汰されていくかもしれません。
将来性
Bytecoinの総発行枚数は184,470,000,000BCNと設定されており、またデフレプログラムによって2分毎に放出されるBytecoinは減少していきます。そのためBytecoinの価値は上昇していくことが期待される、と公式にて発表されています。仮想通貨の多くには「半減期」というものが存在し、約4年毎にマイニング報酬は半減され、急激に変化していくことになりますが、Bytecoinでは徐々に減少していくシステムとなっています。
またBytecoinはオープンソースであるため、明確な開発者はおらず、公式にてBytecoinへの協力者の名前が多く記載してあります。コミュニティの代表者は存在するようですが、あくまでリーダーのような存在だと考えてもらえればいいでしょう。
提携企業に大手企業の名前はありませんが、提携企業を拡大する動きはあり、改良や開発も続いています。今後はアジア地域への普及を始め、支払いプラグインの開発などの記載もあるため、プロジェクトに対する期待はしてもいいかもしれません。
しかしBytecoinに限った話ではありませんが、今後匿名性の高い通貨は、日本においても規制の対象となる可能性があり、犯罪に利用される可能性もあるため、投資には注意が必要です。
最後に
仮想通貨で初めて匿名性に力をいれた通貨、Bytecoin。いかがでしたでしょうか。懸念点は多く存在しておりますが、なんといってもMoneroやDASHの基となる通貨です。後発の通貨が話題となることで、Bytecoinが注目されていく可能性はありますし、プロジェクトへの期待もできます。投資をするメリットはあると思います。しかし数々の問題が表面化され始め、法規制なども増えてきた最近では、Bytecoinが規制の対象とならないとも言い切れません。少しの間、様子を見ていただくのもいいかもしれません。
今後も注目の通貨を紹介していきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。