目次
導入
出典:https://www.decred.org/
政府や多くの金融機関によって中央管理されると、富の集中化や不透明性などといった問題がいつまでも解消されません。中央管理者に権限が集中しているからです。
そういった問題を解消するために、分散管理を実現するブロックチェーンを活用するBitcoinが開発されました。
ネットワーク上におけるP2P(個人間)の取引を、トランザクションの承認を別のノードであるマイナーが証明することによって第三者の存在を排除しました。
しかしPoWコンセンサスにおける欠点は、アップグレードやフォークを決める権限がそれぞれのマイナー、特に高い計算能力を投資できるマイナーにあることです。
マイナーは自己の利益を念頭に置き、トランザクションがより高い取引手数料である方を好みます。より高い手数料のトランザクションを優先するために、高いハッシュパワーを擁するマイナーに権限が集中してしまっているのです。
金融機関や政府を排除して分散化を目指したといっても、きちんとしたガバナンス耐性が必要であることは明確になってきています。もう一度、真の分権化のあるべき形を模索した仮想通貨があります。
Decred(ディーグレッド)とは?
仮想通貨Decred(ディーグレッド)は、ビットコインにおけるPoWの欠点を改良し、ガバナンス体制を備えたコンセンサスを導入する分散化のあるべき姿を提示するプラットフォームです。
仮想通貨名 |
Decred(ディーグレッド) |
通貨単位 |
DCR |
公開日 |
2016年2月8日 |
認証アルゴリズム |
PoW&PoS |
公式サイト |
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公式ブログ |
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ホワイトペーパー |
Decred(ディーグレッド)の特徴
ハイブリッドな認証アルゴリズム
出典:https://www.decred.org/
PoWのマイナーが新しいブロックの作成によって報酬として得るのはDCRコインの60%、PoSのステークホルダーにブロック報酬の30%、残りの10%が中央開発基金へ分配される自己資金調達メカニズムが組み込まれています。
加えて、ステークホルダーは現在1.37DCRであるネットワークを管理するための報酬であるチケットが投票される度に1.8%のリターンを得ることができます。
Politeia(Pi)
出典:https://www.decred.org/
Piは、「Decred Proposal System」を実現する仕組みで、ユーザーがDecredの開発などへの提案をすることを可能にします。
Piは、タイムスタンプ付ファイルシステムであり、データと提案をオフチェーンで保存することができます。Piがライブになると、ユーザーは中央開発基金が保有する、開発のための資金の提案を提出します。
提案をする人は誰でも可能で、必要であれば検閲証明書を発行したり、トークンを受け取ったりできます。
提案は、ステークを保有するステークホルダーの投票によって審議されます。
コンセンサス投票
ステークホルダーに提案されたDCPは、チケットを持ったステークホルダーにより正式に投票されて決まるという過程を経ます。
チケットは約70DCR、Decreditonウォレットで入手することができます。
開発の変更を有するハードフォークが、提案と投票によって正しく行われることを保証します。
Decred PoSシステム
これは、ステークホルダーが前のブロックに投票することにより、PoWマイナーの行動をチェックできる仕組みです。
新しいブロックの作成時に、5つのチケットがチケットプールから無作為に引き出され、新しいブロックの作成時に少なくとも3つの有効投票が必要となっています。
必要投票数に達しないと、そのブロック生成は独自の利益を念頭に置いた違反行為とみなされ、ブロック報酬はなしになります。
Lightning Networkの実装
2017年5月、コンセンサス投票システムにより、ライトニングネットワークの実装の開始と新しい難易度のアルゴリズムの導入を決定するハードフォークが実現しました。
ライトニングネットワークは、ネットワークへの負担を減らし、スケーラビリティの対策となります。
この技術は、メインチェーンとは別にオフチェーン上に「支払いチャネル」というものを作成し、その中で一連の取引を行うことができるようにするものです。ブロックチェーンには記録されず、オフチェーンで頻繁に行うことができる少額決済に適します。
Atomic Swapの実装
2018年1月のコンセンサス投票では、Decredにアトミックスワップを導入することが決まりました。
アトミックスワップは、第三者の仲介を必要としないで、仮想通貨の売買をP2Pで可能にする技術です。取引速度の向上、不正な取引のリスクの軽減などが見込めるとして注目度が高まっています。
最新のアップグレードでは、Decredの提供するアトミックスワップは、現在ERC20互換トークンを含める1300の異なる通貨と互換性がある状態を目指すとのことです。
Decred(ディーグレッド)のチャート
出典:CoinGecko
仮想通貨Decred(ディーグレッド)は、2017年から値上がりはじめ、ハードフォークを実現した5月頃に大きく上昇し、その後仮想通貨市場全体が高騰しAtomicSwapを導入した2018年1月に再び大きく高騰しました。
その後は、一度価格を落としましたが、再び値を戻し、現在はピーク時に近い価格を推移しています。
Decred(ディーグレッド)の将来性
出典:https://www.decred.org/
仮想通貨Decred(ディーグレッド)は、真の分権化のあるべき形を目指して、PoW(Proof of Work)の欠点を克服し、改良されたコンセンサスアルゴリズムを採用します。
PoSステークホルダーによる投票によるコンセンサスを導入し、本質的に1CPUあたり1票でユーザーがコンセンサスルールの変更における意思決定に発言権をもつことができるように工夫されています。
開発におけるハードフォークの判断を運営が中央管理するのではなく、ユーザーによる提案でトランザクション毎に拠出される資金から行われるかどうかを決められる画期的なコンセンサスです。
ラインニングネットワークやアトミックスワップなどの今注目が高まってる技術の導入がいちはやく決まっている点も、このコンセンサスの順調さが伺えます。
ひとつ懸念点が、PoWではマイナーのブロック報酬は全てだったのが、PoSとのハイブリッドになり60%に削減され、なおかつ少しでもマイニングがおかしいとステークホルダーに判断されたら報酬が没収となってしまうという、平等とはいえないPoWマイナーとPoSステークホルダーの力関係だと、マイナーが減ってしまうのではないかと考えます。
Decred(ディーグレッド)を購入できる取引所
出典:CoinGecko
仮想通貨Decred(デクレッド)のマーケット別ボリュームは、FEX、Upbit、Bittrex、Poloniex、OOOBTCとなっています。
他にCryptopiaやYoBitで購入することができます。
Upbit(アップビット)
人気スマホチャットアプリ「カカオトーク」を開発したカカオ社が出資するFinTech企業によって設立した韓国を拠点とする取引所です。
アメリカ大手取引所Bitterexと連携し、124種類のアルトコインを取り扱います。
現在、日本人の利用はできません。
Poloniex(ポロ二エックス)
Bitterexと並ぶ有数の規模のアメリカの仮想通貨取引所です。
売買できるアルトコインの種類は64種類ですが、アルトコインの取引量は世界トップです。
手数料は最近30日間の平均取引額によって多ければ多いほど安くなる仕組みで、上限がMaker手数料0.15%、Taker手数料0.25%です。
アカウント開設に必要なものは、メールアドレスのみです。
Bittrex(ビトレックス)
アメリカに本拠地を置く世界最大級の仮想通貨取引所です。200種類程度のアルトコインを取り扱います。手数料は0.25%で、Poloniexと比較すると少々手数料が高いかもしれません。
Cryptopia(クリプトピア)
仮想通貨取引所Cryptopia(クリプトピア)は、ニュージーランドに拠点をおく取引所で、取り扱い通貨が581種類と他仮想通貨取引所と比較してダントツで多いのが特徴です。
未上場のアルトコインを多く取り扱うので、今後価値が高騰する通貨を発見できるかもしれません。
まとめ
出典:https://www.decred.org/
仮想通貨Decred(デクレッド)は、コインの保有者による投票のガバナンス機能を強化したプラットフォームです。
真の分権化を目指し、ハードフォークなどの開発の岐路に、ユーザーが提案された案をステークホルダーによる投票を行い、採用するかどうか決めます。
運営による中央管理体制が排除され、ユーザー目線にたった仮想通貨の開発が可能になります。