目次
導入
大半の仮想通貨が激しい価格変動の影響を受けやすい一方で、安定さを売りにする仮想通貨があります。
法定通貨との価値を一定に保つペグ通貨を可能にする特別な認証アルゴリズムを採用しています。
Tether(テザー)とは?
仮想通貨Tether(テザー)は、法定通貨との価値を安定に保つペグ通貨の役割を提供するプラットフォームです。
1テザー=1米ドルの固定為替レートを掲げ、価格変動の激しい中で価格の安定性を提供します。
仮想通貨名 |
Tether(テザー) |
通貨単位 |
USDT |
運営母体 |
Tether Limited |
公開日 |
2015年2月 |
認証アルゴリズム |
PoR(Proof of Reserve) |
公式サイト |
|
ホワイトペーパー |
https://tether.to/wp-content/uploads/2016/06/TetherWhitePaper.pdf |
Tether(テザー)の特徴
Proof of Reserve
Tether(テザー)はペグ通貨で、常に1USDT=1USDの価値となるように設定されています。
これは、ユーザーがTether Limitedの管理する銀行口座へ法定通貨を入金すると、その額に応じたTether(テザー)が発行されるようになる仕組みをとることで実現しています。
この仕組みに基づくならば、理論上は発行されたTether(テザー)と運営が保有する法定通貨の額が等しくなるはずです。
ブロックチェーン技術
Tether(テザー)は、ブロックチェーンによって提供されるセキュリティと透過性を活用して、安全性と安い手数料を実現します。
カウンターパーティリスク
仮想通貨Tether(テザー)の運営母体であるTether Limitedは、中央管理者であり、投資家から預かっている法定通貨の管理とTether(テザー)の新規発行に関しては、独占的に実行することができます。
この中央管理者が、不正を働いたり、ハッキング被害に遭う場合、投資家が預けた法定通貨は紛失して返金されないというリスクを抱えます。
数々の疑惑や不祥事
2017年4月 台湾の銀行との関係解消
2017年4月 Tether(テザー)の発行量が急増
2017年9月 第三者による監査が行われず、代わりに社内文書が公開する
2017年11月 ハッカーにより30憶以上のTether(テザー)が盗まれる
2018年1月 9月~1月までの5か月間でTether(テザー)の発行量が10倍に増える
2018年1月 監査法人LLPとの関係解消
Tether(テザー)の需要の要因
Tether(テザー)が、価格の安定性を提供する仮想通貨であることは確かですが、それ以外に目立った特徴が見当たらないのに、人気なのはなぜでしょうか。
それは、中国人の投資家がほかの仮想通貨を売買するのに欠かせない通貨になっているからです。中国政府は資本流出を防ぐため、海外送金や外貨両替に対する規制を繰り返し強化しており、法定通貨での仮想通貨の売買は当局の監視などもあり危険です。
そのため、1ドル=1テザーで価格がペッグされており、ほかの仮想通貨のように価格の不安定性がないので、法定通貨の取引に紐づけされている法規制を無視することができます。
中国の投資家の需要に従って、仮想通貨市場の値上がりが左右されているというのが現状です。
Tether(テザー)のチャート
出典:CoinGecko
Tether(テザー)は、認証アルゴリズムPoR(Proof of Reserve)の要件通り、1ドルほどで価値が固定されています。
Tether(テザー)の将来性
Tether(テザー)には、いくつかの疑惑が生じる不祥事が明るみになっています。
準備金は本当に存在しているのだろうか
Tether(テザー)の運営は、1テザーに対し、1ドルの準備金を保有していることを保証しています。つまり、2700億Tether(テザー)が流通している限り、どこかの銀行口座に2700億ドルが準備されていることになります。
Twitter、Reddit、数々のブログ、先日開催されたビットコインカンファレンスなどでは、外部監査機関を通じて、米ドルの準備高を証明するようにTether(テザー)に求めていますが、依然として対応はありません。
価格操作をしているのではないか
ビットコインの価格下落に合わせたタイミングで、Tether(テザー)が新規発行され、Tether(テザー)を使ってビットコインを購入しているという統計が匿名レポートで発表されています。
調査期間中、ビットコインの価格上昇の半分近くは「Tether(テザー)の91回の新規発行の2時間以内」に発生していることがわかっています。
Tether(テザー)がなにもないところから発行され、ビットコインの異常な高騰を見せたと推測されます。実際に、仮想通貨市場全体が高騰を見せた2018年1月までの5か月間でTether(テザー)の発行量が10倍に増えています。
Bitfinexとの関係
Tether(テザー)のパートナー取引所であるBitfinexですが、2016年8月にハッキング被害に遭い、120,000BTCが盗まれています。顧客への補填として独自トークン「BFX」トークンを発行し、1BFX=1ドルで交換可能としました。
当初の予想としては、大部分の顧客へ資金が戻らないとみられていましたが、Bitfinexの発表によると2017年4月にはBFXトークンの償還が完了したとしています。
この補填の際に、BFXトークンとの換金以外に、Bitfinexの親会社であるiFinexの株式とも交換可能でした。このiFinexは、Tether(テザー)運営の関連会社です。経営幹部の多くが、BitfinexとTether(テザー)とで一致している点も検討しなければなりません。
加えて、2017年4月にテザーの発行量が急増していることも見逃せません。
これらの疑惑をもとに、1月31日、Tether(テザー)の運営に不正の疑いがあるとして、米先物取引員会(CFTC)が調査を行っています。CFTCは、Tether(テザー)の運営と仮想通貨大手取引所であるBitfinexに対し、2017年12月6日に召喚状を送付しており、両社はどちらも香港に拠点があり、経営者が同じです。
これらの可能性を懸念すると、カウンターパーティリスクがあり危険な状態といえます。
Tether(テザー)を購入できる取引所
出典:CoinGecko
仮想通貨Tether(テザー)の売買のマーケット別ボリュームの順位は、上からKraken(クラーケン)がほとんどを占めています。
他にもHitBTC(ヒットビーティーシー)、Poloniex(ポロニエックス)などでも購入できます。
Kraken(クラーケン)
Krakenはアメリカの取引所で、17種類の通貨を取り扱います。
海外取引所ながら日本円入金が可能だったり、日本語対応してるなど便利ですが、ユーザーインターフェースが見づらかったりサーバーがよくダウンしたりするので注意しましょう。現在は日本居住者の利用はできません。
https://www.kraken.com/ja-jp
Gate.io(ゲート)
中国の中堅取引所で、100種類を超えるアルトコインを取り扱います。同じ中国の取引所であるBinanceやKuCoinなどとは違った独自通貨を多く揃えます。
他の大手取引所と比較すると使い勝手が少し悪いのが難点です。
https://gate.io/
HitBTC(ヒットビーティーシー)
イギリスの仮想通貨取引所で、手数料が0.1%と安いのが特徴です。
メールアドレスとパスワードのみで登録できるので、本人確認なしで仮想通貨の入出金が無制限でできます。新規上場の仮想通貨を多く取り扱うことで定評があります。
https://hitbtc.com/?ref_id=5acc5ef1e06da
Binance(バイナンス)
Binance(バイナンス)は2017年7月に開設された中国の仮想通貨取引所です。
Google翻訳機能を利用した日本語対応も可能です。
2017年12月には仮想通貨取引量も世界最大となり、取扱通貨も100種類以上と急成長してる仮想通貨取引所です。
また、取引手数料も0.1%と安く、取引所独自のトークンであるBNBを使えば0.05%と破格の安さで売買を行うことができます。
https://www.binance.com/?ref=12205780
Poloniex(ポロ二エックス)
Bitterexと並ぶ有数の規模のアメリカの仮想通貨取引所です。
売買できるアルトコインの種類は64種類だが、アルトコインの取引量は世界トップです。
手数料は最近30日間の平均取引額によって多ければ多いほど安くなる仕組みで、上限がMaker手数料0.15%、Taker手数料0.25%です。
アカウント開設に必要なものは、メールアドレスのみです。
https://www.poloniex.com
まとめ
仮想通貨Tether(テザー)は、1テザー=1ドルとなるようにペグされた固定為替レートを提供する仮想通貨です。
不安定な価格変動の仮想通貨の中にあって、安定性を提供するはずのTether(テザー)が、不安定性をあおっているという皮肉となっています。
不正や疑惑が生じる中、今後どういった対応をみせるかに関わってきそうです。