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イーサリアムに実装されるキャスパーとはどんな仕組み?概要・利点を徹底解説

2018年1月1日、イーサリアムネットワークはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)のCasper(キャスパー)のテストネットα版をリリースしました。最終的に現在用いられているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)アルゴリズムのEthashからキャスパーに移行する見込みです。このリリースによって日本でもイーサリアムの価格は高騰するなど影響がありましたが、そもそもキャスパーとはどのようなものなのでしょうか。概要や実装によって想定される問題等について解説していきたいと思います。

Casperはイーサリアム分裂の危機?!

イーサリアムは、実は現時点で完成系ではありません。現在実装されているスマートコントラクトの機能もイーサリアムが目指す主要機能のうちの一部に過ぎず、今後ハードフォークアップデートを経て更なる開発が行われていく予定なのです。ブロックチェーンのアップデートにはソフトフォークハードフォークの2種類があります。

本記事で詳しく説明するのは避けますが、ソフトフォークではアップデート後のチェーンは1つに収束し、ハードフォークでは分岐することになります。従って、ハードフォークはあるブロックチェーンから新しい仮想通貨を作りたいときなどにも用いられます。一方、分裂を意図しないアップデートでハードフォークを用いる場合は使用しない方のチェーンにディフィカルティボムが設けられることが多いです。

なぜハードフォークアップデートの話題を出したかというと、実はCaspre導入に伴うハードフォークによりイーサリアムが分裂するのではないかという噂がまことしやかに囁かれているのです。コインの分裂には価格面・開発面で大きなリスクが伴います。Casperの本質に触れる前にまず分裂リスクについてクリアにしておきましょう。

ハードフォークに付き纏うリスク

ハードフォークには、通貨の分裂というリスクが常に付き纏います。従って、PoSへ移行する際にも当然潜在的に分裂の懸念が付き纏っています。イーサリアムはもともと4回のハードフォークアップデートが予定されています。10月16日に行われたメトロポリスアップデートの前半であるビザンチウムハードフォークでは、旧ホームステッドチェーンから新しいビザンチウムチェーンへとシステム全体で移動することに成功しています。

しかし、イーサリアムの過去には分裂を招いてしまったハードフォークもあります。かつてThe DAO事件によってハードフォークを行った際には97%のコンセンサスを得られていたにも関わらず旧チェーンが息を吹き返して分裂してしまいました。イーサリアムの不変条件を変更したことに対して強く反発する層がいたことが原因です。このような分裂を避けるためにも、ハードフォークを行う際には新しいチェーンへ移るというインセンティブを設けることが重要であり、また、ハードフォークが前提で開発されているイーサリアムは常に分裂のリスクを抱えてるということになります。また、十分なテストを行わずにアップデートをしてしまうことによってネットワークに致命的なエラーがおこってしまうというリスクも拭い去れません。

新たなチェーンへの移行インセンティブ

イーサリアムは最低でも三段階目のアップデートであるメトロポリスアップデートの後半・コンスタンティノープルと第四段階のとなるセレニティの2回ハードフォークアップデートを控えています。Casperへの移行はセレニティにて最終実装となる見込みですが、その際にエコシステム全体のコンセンサスが取れずイーサリアムクラシックの時のように通貨が分裂してしまうのではないかという懸念が聞かれます。

通常、イーサリアムでハードフォークアップデートを行う際にはマイニングの難易度を指数関数的に上げていくことで使用しない通貨を実質凍結させていくディフィカルティボムを設定します。これにより、エコシステム全体が新チェーンに移行するインセンティブを与える仕組みです。Casperへの移行ハードフォークでもディフィカルティボムを正しく設定すれば移行のインセンティブを与えることができます

Casper移行時に分裂懸念がされた理由の一つが「既存のマイニングリグによるマイニングができなくなる」というものでした。しかし注目したいのは、ビザンチウムでEIP-186のマイニング報酬の減少を伴うアップデートが行われた際に既にイーサリアムネットワークによって受け入れているということです。マイニング報酬はビザンチウムハードフォークの段階で5ETHから3ETHへと減少しており、最終的に1ブロックの報酬は1.5ETHへと減らされる見込みです。つまり、もしマイニング報酬が原因で分裂することがあり得るとすればビザンチウムハードフォーク前のタイミングの方が合理的であり、Casper以降時に分裂するインセンティブは低いです。

上述の理由から、Caser実装に伴ってイーサリアムクラシックの時のような分裂が起きる可能性は僅少であると判断できます。

CASPER(キャスパー)とは

前項で分裂の可能性が僅少であると結論付けたところで、Casperの具体的な説明に移りたいと思います。イーサリアムは、現在EthashというPoWアルゴリズムによってマイニングされており、マイニング中央集権化が防止されています。Ethashはイーサリアムのバージョン「フロンティア」で使用されていたDagger Hashimotoを改良したもので、現在のバージョンであるメトロポリスの1つ前のバージョン「ホームステッド」の時から実装さています。対してCasperは、これまで採用されていたPoWコンセンサスアルゴリズムとは異なり、”Validator”によってブロックが生成されるPoSアルゴリズムを採用しています。従って、キャスパー採用後は既存のGPUを使用したマイニングリグでの採掘ができなくなります

CasperではビザンチンフォールトトレラントベースのPoSをベースにし、2014年に発表された「マイニングなしのコンセンサス」というTendermintを改良したものを採用しています。この「ビザンチンフォールトトレラント」については後ほど詳しく説明します。

アルゴリズムがPoWからPoSに変わり、既存のマイニングリグが使用できなくなる、という骨子は掴んで頂けたと思いますが、その本質について以下でより詳しく見ていきたいと思います。

そもそもPoSとは?S:Stakeの意味から探るPoSの意義

Stakeは一般的に日本語に訳するとすれば”掛け金”や”利害関係”となりますが、ここで意味するStakeとはイーサリアムネットワークに携わるValidatorたちが保有するイーサリアムの資産のことを指します。Ethashではマイナーが保有するマイニングリグの演算力を提供することでブロックを生成し、ハッシュパワー(演算力)が高いマイナーであればあるほどブロック生成を多く行え多くのマイニング報酬を得ていました。一方で、CasperではValidatorの保有するイーサリアムの量に応じてブロック生成が進められることになります。

PoWのマイニングではコンセンサスを安全に得るために大量の電力を消費してしまいますし、セキュリティを担保しつつブロック生成の時間を短縮することが困難ですが、PoSではその問題が改善されています。正確に言えばPoSでもマイニングは行われるのですが、PoWのように総当たり式で行われるのではなく、ユーザーのコイン保有量と保有年数に応じて計算すべき範囲が狭くなり、長期で多くのコインをホールドしている人が新規コインをより獲得しやすくなる仕組みとなっています。これは、コインの長期・大量ユーザーが自分が持っているコインの価値を下げるような行動を取らないであろうという信頼の上に成り立つ仕組みです。これによって計算量が減るため環境にも優しく、今後主流になっていくアルゴリズムであると考えられています。

ビザンチンフォールトトレラントとは

先程、CasperはビザンチンフォールトトレラントベースのPoSをベースにしていると紹介しましたが、この「ビザンチンフォールトトレラント」とはどういう意味なのでしょうか。それを紐解くためにはまずビザンチン将軍問題についての説明が不可欠です。ビザンチン将軍問題は非中央集権でセキュリティが高いブロックチェーンを構築しようと思った際に避けて通れない問題の一つです。

ビザンチン将軍問題は発生するのは、1つの目的に対して複数人の合意を得なければならないというケースです。実は、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの一つであるPoWはこのビザンチン将軍問題の解決に成功しているアルゴリズムなのです。PoWを導入していれば例え悪意を持った人物がネットワークに携わってしまったとしても合意が正常に形成されネットワークを稼働することができるというのが定説です。

PoWでは様々な問題点が浮き彫りになってきているためPoS含めた他のアルゴリズムへの移行が進みつつありますが、ビザンチン将軍問題を解消可能であること=ビザンチンフォールトトラレントであることはどのアルゴリズムにも求められる最低要件となっています。以下ではビザンチン将軍問題についてより詳しく説明していきます。

ビザンチン将軍問題

「ビザンチン」という名前の元となったのは、東ローマ帝国のビザンチン帝国です。将軍たちが敵国の都市を攻撃する際に5人の将軍で都市を各方面から包囲していると仮定します。5人全員で合意して攻撃を仕掛ければ陥落可能な都市なので、5人の多数決によって攻撃の可否を決定します。5人は互いに使者を使って手紙で連絡を取り合うことができますが、その中に1人だけ悪意を持った裏切り者がいるとします。

もし2人が攻撃を支持し2人が撤退を支持した場合、残りの1人の決定によって過半数=意思決定が行われることになりますが、もし裏切り者(ビザンチンノード)がこの場合の1人であった場合、攻撃を支持する将軍に対しては「攻撃票」を、撤退を支持する将軍に対しては「撤退票」を送れば、それぞれの将軍はバラバラの行動を起こし侵略は失敗に終わります。このような合意形成の失敗を「ビザンチン故障」や「ビザンチン障害」と呼びます。

ビザンチン・フォールトトレラント(BFT)

このような悪意ある攻撃の他にも、合意形成の際の投票が改ざんされる可能性などがあり、この侵攻に際した合意形成方法には沢山の穴があります。PoWではマイナー(将軍)に報酬を付与することによって誠実に合意形成を行うインセンティブを与え、ビザンチン将軍問題を解決しようとしています。もしマイナーにビザンチンノードがいた場合であっても大多数のマイナーは経済的合理性に従うためネットワーク全体としては正常に稼働することが期待できます。このことを「ビザンチン・フォールトトレラント性がある」(BFT)と表現します。

PoWは本当にビザンチンフォールトトラレントか

PoWはビザンチンフォールトトラレント性があると言われていますが、もし悪意あるマイナーが協力して攻撃を仕掛けた場合、BFT性があるとは言い切れなくなってしまいます。従って、PoWのBFT性は大多数のマイナーに対する信頼の上に成り立っていると言えます。実際に過去には悪意あるマイナー達によるネットワーク攻撃が実行又は計画されたケースもありました。実際に価格が変動したりハードフォークアップデートの対応を迫られたケースもあることから、今後のアルゴリズムを考える上ではこれらの点を改善していく必要があると言えます。

POSが抱える問題点「NOTHING AT STAKE」とCasperの対応

PoSはBFT性がある上にマイニングにおける電力問題といったPoWが抱える問題を解消することができるアルゴリズムですが、問題もあります。その代表的なものが「Nothing at Stake」問題、すなわち、不要なマイニングが行われてしまう問題です。PoWではマイニングを行う際にマイニングリグの作成が必要な上に大量の電力、すなわちコストがかかります。もし無効なブロックを作成した場合は報酬が得られなくなってしまうため、正しいチェーンをマイニングしようというインセンティブが生まれます。

一方、PoSではブロック生成に必要となるのが通貨の長期・大量保有であり、もし大量保有者が悪意を持って攻撃しようと思った場合リソースを割くことなく攻撃が可能となってしまいます。これを解決するためにCasperではValidatorがルール違反をした場合に保有するイーサリアムをペナルティとして没収する旨をホワイトペーパーに記載しています。これによって「Nothing at Stake」問題は回避することができるためPoWより安全であると言うことができます。

まとめ:CasperのPoSは期待大。価格高騰の可能性も

いかがでしたでしょうか。イーサリアムが導入するCasperが既存のPoWのアルゴリズムの反省点を活かしたシステムであることが理解頂けたのではないでしょうか。PoWへの不信感とも相まって、PoSを導入するイーサリアムへの期待感は今後も高まって行くことが予想されます。さらに、PoSに移行するとマイニングのブロックチェーン生成時間の伸びや電気代といった売り圧に比べてValidatorとしての保有インセンティブが高まって行くことが予想されます。今後の価格維持および高騰も期待できるかもしれません。ぜひ保有を検討してみてはいかがでしょうか。最後までお読み頂きありがとうございました。